HS side ページ33
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シャワーを頭から被って、だんだんと冷静さを取り戻すと、自分の馬鹿さ加減に腹が立ってきた。
この前テヒョンから、Aに彼氏はいないって聞いて少しホッとした。じゃあ写真の男は誰だよっていう疑問は残っているけども。とにかくホッとしたんだ。だけど、ずっとカトクも返してないままだったし、今更なんて切り出していいか分からなくて。ダンスステージも、もしかしたら来てくれないかもって思ってた。
ステージの上からでもAのことはすぐに見つけた。ユンギヒョンと楽しそうに話すAを見て、俺はカトクすら送れてないのに、って、自分のヘタレ具合にさらに嫌気がさした。
ヤケクソになって飲んで、みんなにもAにも迷惑かけて。来てくれて嬉しかったくせに碌に喋れもしないで。挙げ句の果てに家に連れ込んで、そのまま放置とか。
なにやってんだ俺は。
とにかくAに謝らなきゃ。急いでシャワーを終えて、適当に着替えて、濡れてる髪なんてそのままでいい。早く謝らなきゃ。
タオルを引っ掴んでドタバタと寝室に戻ると、Aの姿がなかった。
え、まさか帰った!?
慌ててトイレやリビングを探してみたけどどこにもいなくて。最悪、やらかした、絶対嫌われた。もう絶望しかない。
まだ出て行ってからそんなに経ってないはず。追いかけようか?でも追いかけてなんて言う?幻滅したとか言われたら俺まじで泣く自信あるよ?立ち直れないよ?
悩んだ挙句、電話にしようとスマホを手に取ると通知が1件。開いて見るとAからで、「明るくなったから帰るね。寝ちゃってごめん!」って可愛らしい絵文字付きのメッセージ。
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作者名:umbrella | 作成日時:2024年3月5日 18時