暗闇 ページ28
屋敷を出て、馬車に乗り込むとコンコンと窓ガラスがノックされる。
重たい窓を開けて下を見るとすぐそばにヴィンセントがたっていた。
「伯爵…！あれ、もうお話は済んだの？」
「あぁ、今日はすまなかったね。全く話せなかった…」
やれやれと、困った様に首を振る。
「君に『伯爵』と言われると妙な違和感があるねぇ」
そして、顎に手を当ててまた同じ様に笑った。
「じゃあ、私の事もAってよんで下さい？
あ…それとアンダーテイカーって人はいつもここに？」
首を傾げたヴィンセントに条件を出された事を手短に話す。
「気まぐれに振り回されたんだね？
約束したなら、彼の店に行くといいよ」
ロンドンにある葬儀屋だよ、といって楽しそうに笑う。
ロンドン…都会じゃないか。
「……そうか、彼の元に預けておけば彼の方から君に話すかと思ってたんだけど。」
何しろ君は面白いから、と付け加えられた。
…未だにこの人のいう面白いの意味がいまいちよく分からない。
わかってこの人、私の事あの部屋に置いていったの？
どこまでわかってるのだろう。
この人に任せきりで大丈夫なのかと彼を少し睨んだ。
「ほら、そうやってすぐに噛み付かない。君の悪い癖だ」
「……わかってるの」
手の上で転がされてるのは気分が悪いというもの。短く返してそっぽを向いた。
パチィン
乾いたムチの音とともにゆっくりと馬車が動き出す。
「……今日は楽しい夜をありがとう。
ヴィンセント・ファントムハイヴ伯爵」
嫌味たっぷりでそういった。
「噛みつく相手はくれぐれも間違えないでねお嬢さん」
負けじと返された言葉にフイッと顔を逸らした。
余裕そうな笑みがカンに触るいやな別れだった。
……馬車は暗い夜道をどんどん進む。
窓からは彩った草木も見えず、
時々月明かりで見えたかと思う景色はたちまち黒く変わった。
両親の死に関わったのは一体誰なんだろう？
アンダーテイカーという人の口ぶりはユニティール家の他にも誰かしら絡んでいるのは間違いない。
周りの景色と自分の立場とが妙に重なって、嫌になったから目を閉じた。
(どこを走っているのか、どこへ向かっているのか)
立場と状況を重ね、呆れ気味にそう思った。
そんな私を乗せて暗い 夜道をどんどんと、
馬車は進むのだった。
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月華(プロフ) - emini2919さん» 嬉しいです！ありがとうございます、更新頑張ります！ (2017年4月5日 13時) (
レス) id: 315757fc6c (このIDを非表示/違反報告)
emini2919(プロフ) - すっごい面白いです！ 何度も見てあ〜おもしろーイ！って思います (2017年4月5日 11時) (レス) id: 4164a3d38f (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - そんなに読み返していただけるなんて！！嬉しいけど誤字とかがあったらはずかしいですね笑らるさんのためにも頑張ります！ありがとう！ (2017年1月26日 0時) (レス) id: 315757fc6c (このIDを非表示/違反報告)
らる(プロフ) - 何度も読み返しております！この作品でアンダーテイカーが好きになりました…最高ですもう。 (2017年1月26日 0時) (レス) id: 83e9b4d90b (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - いーですよねぇ！アンダーテイカー…。大好きだという貴方のお気に召しているか不安ですが頑張ります！ (2016年12月26日 11時) (レス) id: 315757fc6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろん x他1人 | 作成日時：2016年7月17日 1時
