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完全勝利のバレンタイン【kr】 ページ16

Krside

――――

2.14、バレンタイン。
俺はそれが嫌いだ。
好きって言うのは女子とモテる男子、そしてリア充だけだろう。

非リアでモテもしない俺はバレンタインが嫌いだ。

「きりやーん!そんな険しい顔してどしたの」

とモグモグとチョコレートを頬張る奴、なかむ。同じクラスで幼なじみ。
俺とは真逆でなかむはモテる。
くそ、羨ましい。

「なかむはバレンタイン好き?」
「うん!甘いもの食べれるし」
「へぇ……そりゃ羨ましい」

ひとつあげるよ、となかむからチョコレートをひとつ貰った。甘さが胸にしみる。

「甘いなぁ」
「そりゃあチョコレートだもんね、あ、マカロンあるじゃん!やったー!」

実際、今日の教室は甘い匂いがして、居心地が悪い。

そして俺は片思いの相手、Aを見る。
彼女は友達と楽しそうに手作りお菓子を交換していた。
俺にもくれよー…

「あっきりやんAちゃん見てる」
「うるさい」
「俺、貰ったよ」
「はぁ!?」

と、なかむは可愛らしいラッピングがされたマフィンを見せびらかしてくる。
それは、パンダをイメージして作ったのかとても可愛かった。しかも女子力高いな。

「いいでしょー!」
「ねぇ!ずるい」

彼は大事そうにそれをリュックに閉まった。
俺、完全敗北。

するとなかむは「ちょっと俺トイレ」といい教室を出ていった。
ちょっとニヤニヤしてたような…。

「…きりやん」

なかむの声ではない誰かに呼ばれ振り返ると、

Aが立っていた。

「へっ?な、なに」
「……ん、これ」
「え」
「あげるって言ってるの!」

ぐい、と押し付けられたそれは、大きめの箱。
黄色の水玉模様で、リボンも付いていた。

「俺に?」
「そうだよ」
「え、ありがと。めっちゃ嬉しい」
「よかったじゃあ!」

早口でいい帰ってしまったAは顔が真っ赤だった。
もしかして?とちょっと思ってしまった。

その箱を開けてみると、ワンホールのガトーショコラ。
しかも手紙付き。

今読もうか、後でにしようか迷ったけど俺はその手紙をこっそり制服のポケットに入れて、誰もいない階段の踊り場で読むことにした。


"きりやんへ。
ハッピーバレンタイン。いつもありがとう。
美味しくないかもだけどガトーショコラ作った。
あと、好きです。私と付き合って下さい A"


俺はバレンタインが好きだ。

青色の本気【kn】※→←愛に来たよ【sha】


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作者名:ななし。 | 作成日時:2020年3月18日 22時

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