【短編集】White story 【w.t】 (ページ11)

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甘い物は【sha】ページ11

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「おー、見事に風邪だね」
「…おう」

しゅん、と小さく縮こまって布団に入っているのは、今日デートの予定だったけど熱を出してしまった彼氏、シャークん。

別に責めていないし、怒ってもないけどシャークんはすごく罪悪感があるみたいだ。

「大丈夫だよ私、怒ってない」
「デート、したかっただろ？」
「まぁそりゃそうだけど…。そんなことはいいの！寝てなさい」

と彼を寝かしつける。
するとすぐにスヤスヤと彼は寝息をたてた。
まだそんなに辛そうな症状は出てない、よかった。

とりあえず薬を買ってくるか。
少し楽になったら病院行くかな。

と思い立ち上がった。

「シャークん、薬とか色々買ってくるね」

でも彼は夢の中なので私は静かに家を出た。

.

「遅かった！」

薬や飲み物、ゼリーを買って家に戻るとシャークんが凄く怒っていた。
ぷんぷん、という効果音がつきそうだ。

「ごめんって」
「俺心配したんだからな……」

といっても、20分くらいで帰ってきたし、遅くはなかったと思う。
でも可哀想だったので頭を撫でてみる。

「…子供扱いすんな」
「可愛いよシャークん」
「…、あそ」

ふいっと顔を背ける彼は恐らく照れている。
耳が真っ赤だったから。
ふふ、と思わず笑みがこぼれた。

「そうだ、薬飲みな？｣
「あー、そうだったな…」

分かりやすいくらい嫌な顔をするシャークんに、水と風邪薬を渡す。
すぐに彼はそれを飲み込む。
なんだかんだ言って少し元気そうで何よりだ。

「あー、少し体が楽になってきた」
「おお、よかった」
「甘い物食べたい」
「へ？シャークん甘い物好きだったっけ？」
「いや…こっち」

ちゅ、

彼は私の唇にキスをした。
少し熱が篭っているけど、柔らかい唇。
初めてではないけど、やっぱりドキドキした。

「…、ごちそうさま」
「風邪移るよ私」
「はは。大丈夫、Aは強いだろ」

と謎理論。

そして彼はへりゃりとベッドに倒れ込み、スヤスヤと眠った。

まだキスされた感覚が残っている唇にそっと触れてみた。