想い ページ39
腕を組みながら想いに耽り、気付けばAと良く訪れていた甘味処の前に居た。
すると聞き覚えのある声が店内から聞こえて来た。
この声は甘露寺だな。
暖簾を潜れば奥の机に向かい合って座る甘露寺とAの姿が在った。
Aがこちらに気づくととても驚いた表情をした。
「杏寿郎…さん」
泣きそうに俺の名前を呼ぶAに今までの色んな感情が吹き飛んでしまった。
「A！！良かった！無事だったようだな！」
すると甘露寺がAに何やら耳打ちをすると俺に軽く挨拶をして店を去ってしまった。
俺達店を出ると通りは夜にも関わらず人でごった返していた。
「さっきはその…何も言わず屋敷を出てしまってすみませんでした…」
喧騒に掻き消されそうに呟くAが消えてしまいそうで思わず俺はAを抱き締めてしまった。
「！？」
「俺の方こそすまなかった…！君を探して宇髄を訪ねて色々と助言を貰ったんだが、俺はもう少し女心と言うものを理解しないといけないな！」
俺の腕にすっぽりと収まっていたAがまた驚いた様に見上げてきた。
「ここは少し煩い 静かなところを通って帰ろう」
俺はAの手を引いて人混みから外れた。
「私 気付いてしまったんです…」
Aが一歩後ろでポツリと言う。
「あの時 杏寿郎さんが女の人と楽しそうにお話しされていて それだけで胸がギュッて締め付けられる様に痛くて。
…逃げてしまいました」
「私は きっと杏寿郎さんのこ「A！！」
俺はAのその後言いたかった言葉を理解してしまったのかも知れない。
遮ってしまった。
「俺も どうやら気付いてしまったようだ」
少し屈んでAの頬に手を添える。
「宇髄の所へ稽古に行かせた時も 冨岡との合同任務に参加した時も 俺はAの事ばかり考えていた！
俺は君の事が好きだ A…！」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 96人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こあら。 | 作成日時：2021年6月25日 22時
