出逢い ページ1
夕刻。
鬼殺隊である俺は任務に赴いていた。
「あと1時間程で目的地には着きそうだな…
ん?」
ふと美しい歌声が俺の耳に届く。
その歌声の主を探していると、小さな村を見渡せる崖の上に少女が立ち歌っていた。
少女が歌い終わると俺の気配に気付き、こちらへ振り向いた。
「…!!あ…あの…」
「すまない!!美しい歌声だったので、つい聞き惚れてしまった
俺は煉獄杏寿郎だ 君は?」
俺の声量に驚いたのか少女は目を丸くした後微笑んだ。
「私は Aです」
「Aか!良い名だな!」
Aはここから見える村の出身らしい。数ヶ月前に鬼の襲撃で壊滅してしまったこの村の弔いとして、毎日歌を歌いに足を運んでいるらしい。
「家族もみんなやられてしまって…
私だけが生き残ったんです」
Aは哀しげにそう話してくれた。
「俺はこれから任務がある
もし君が良ければ明日もまた同じ時間にここに来ても良いだろうか?」
Aの事が気になって咄嗟にそんな事を聞いてしまったが、Aはニコッと笑って「もちろん」と返してくれた。
翌日。
約束の時間に少し遅れてしまった俺はAと出逢った場所へと急いだ。
(「日が暮れてしまうな」)
俺はふと鬼の気配を感じ、息を潜める。
気配に近付くと、そこには鬼に追い詰められたAの姿があった。
(「まずい…!!このままではAが!!」)
「炎の呼吸…
!?」
技を出そうとした時、耳を疑った。
Aが歌を口ずさんでいたのだ。
Aの表情は暗くて此方からは伺えない。
「正気なのか…!?」
鬼の様子を伺うと、鬼は苦しそうに呻き声を上げ始めた。
「壱の型 不知火!!」
隙を見て鬼の首を切る。
「え…煉獄…さん?」
Aは驚いた様だったが、安堵したのかそのまま意識を手放してしまった。
よもや…
とりあえず俺はAを蝶屋敷まで運ぶことした。
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作者名:こあら。 | 作成日時:2021年6月25日 22時