Time goes by 6th (ページ9)

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Aのおかげで身も心も元気になってきている。まだまだ熱や倦怠感が残っていて体はふわふわとしているけれど、立つのがやっとなくらいの重さや立ちくらみはなくなって楽になってきた。

「ねえ、A」

『ん？』

「……明日も、来てくれる？」

互いにシャワーを終わらせてベッドに横たわる。つい2時間前東京に帰ってきたAは明日は朝から仕事だ。その分早く帰って来れるけれど。本当はゆっくり過ごしたかっただろうに俺に時間を使わせて申し訳ない。

『来るというか帰るよ？』

「帰る？」

『ここは辰哉くんの家だけど私の家でもあるでしょ？』

でもAは微塵も疲れを感じさせない。

『同じように私の家は辰哉くんの家だし』

「確かに」

『だからこれからは来る来ないじゃなくて、帰る帰らないで表現したいなあ』

そう言ってハニかんだ彼女が今日も好きだ。

「じゃあ、明日も帰ってきてください」

『もちろん。仕事終わったら買い物してすぐ帰る』

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いつの間にか俺は眠りに落ちていたようだ。つい24時間前は無理を押して、己の体と心に鞭を打って起き上がったけれど、今日はすこぶる体が軽い。試しに体温計を腋に挟めば37.5℃にまで下がっていた。

「良かったぁ……」

まだ少し倦怠感は残っている。微熱っぽさもないわけじゃない。でも昨日の朝のしんどさを考えれば随分回復した。明後日までしっかり休めば元気に復帰できそうだ。

「これが愛の力ってやつか」

一緒に寝たはずのAは既に仕事へ行ってしまっている。消灯したのは日付を超えて1時間は経っていた。確か今日は秋から始まるドラマの打ち合わせがあるとか言っていたっけ。そんなことを思い出しながらリビングに入る。

ダイニングテーブルには1枚の付箋が貼ってある。

“辰哉くんへ
熱は大丈夫そう？
もし食欲があったら冷蔵庫にサンドイッチを入れてるから食べてね。
果物ゼリーも入ってます(^^)
私が帰ってくるまで何か食べて、念の為薬も飲んでゆっくり休むこと！
今日までゲームもお休みで(´･･`)”

手書き文字の羅列を素直に受け止める。冷蔵庫を開くと白い平皿にサンドイッチが2切れ並び、表面にラップがかかっている。ベーコンとレタス、トマトのサンドイッチだ。

「もちろん食べますよ？」

1口齧るとシャキッと広がるレタスとトマト、ベーコンの塩気が広がった。