Time goes by 5th (ページ47)

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東京に着いて急いで駅を出る。家に帰るよりも先にドラッグストアとスーパーへ出向き、必要なものを買った。

『ただいまぁ……』

1週間ぶりの東京を実感する余裕もなく辰哉くんの家に入る。玄関には辰哉くんのものとは違う靴が2足並んでいた。

「おっ、おかえり」

『照ただいま』

「2週間お疲れ様。っていうのはまずふっかに言われたかったかな？」

『なんとも言えん』

リビングに入ると真っ先に照が出迎えてくれた。労りと優しさをくれることと誰に言われたかったかを天秤にはかけられない。互いに苦笑いする。

「お邪魔してます」

『涼太くんお久しぶり。連絡ありがとうね？』

ローテーブルとソファーの間に涼太くんが座り、ソファーにはタオルケットに身を包んだ塊が縮こまって眠っている。

「いえいえ。ふっかに絶対にお嬢には言うな、隠してくれって頼まれたけど、それだけはどうしても無理だったんだよね」

「Aが隠し事嫌いなのよく分かってるじゃん、俺ら。しかもストレスから来る発熱だから薬が効かないらしいし、ふっか以外のメンバー全員の総意で1人にさせられないって判断して、リーダー権限で宮ちゃんに連絡してもらったの」

『そうだったのね……』

苦しそうに眠る辰哉くんのそばに座る。色白のほっぺは火照り、睡眠が浅いのか悪い夢を見ているのかうう、と唸っている。冷房が効いているはずなのに額には薄らと汗が浮かぶ。

「……本当バカだよ。朝からキツかったのに多方面に隠そうとしてさ」

「俺らもどうにかしてカバーしたけど終わった頃には40℃目前だったから」

「そりゃ立ち上がれなくなってもおかしくないよねって」

涼太くんも照も心配そうに辰哉くんを眺める。それなりに筋肉があるとはいえ華奢な体にどれだけのストレスや疲れを溜め込んでいたのだろう。

仕事のない不安を知っているからこそ、辰哉くんは無理をしても頑張る。代役を立てられるのは絶対に嫌だから誰よりも爪痕を残そうと躍起になる。

「いわゆるオーバーヒートってやつだよね」

涼太くんの視線が私に向く。

『頑張りすぎってことか』

「そういうことだ」

「病は気から、熱はない、熱はない、俺は元気、俺は元気って一生呟いてたよ」

「その時点で体調悪いの認めてるようなもんだけどね」

2人は再び苦笑いをこぼした。辰哉くんらしい言い分だ。