それが追う恋ってやつ ページ39
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アイドルだって恋愛をする。好きな人が現れたら1人の男としてアピールするしアプローチも仕掛ける。そうじゃない時は女と遊び、ありとあらゆる欲を満たす。特定の相手は作らない。
モテてモテて、モテまくってチヤホヤされたい。こんな人生がいい、と思っていたのにいつどこでこんな人生は嫌だ、と思うようになったのだろう。
「なあA」
『ん？』
「今度飯行こうぜ？」
俺は10年近く後輩であり親友であり、一生恋愛感情を持たないであろう女の子を好きになった。もしかしたら好きになる運命だったのかもしれない。でも本当に予想外だった。
『いいよ。他のSnowManも誘う？』
Aに女遊びを咎められ、自分を大切にしてほしい、と怒られた。きっとA以外にも先輩顔負けの女性関係をよく思わなかったり、辞めさせたいけれど言葉が見つからない人はいた。誰1人として口に出さなかった中で、Aは俺を怒ってくれた。
「は？ 何で？」
頭ごなしに怒るのではなく諭すように言葉を紡いだ。
『何でって……、君アイドルでしょ？』
「アイドルだけど」
『アイドルが女の子と2人で出歩いてたってばら撒かれたら終わっちゃうじゃん』
大人になるにつれて本気でもお世辞でも褒めてくれる人はいる。でも怒ってくれる人は減りつつあった。俺のためを思ってエネルギーを使ってくれた。あの日からAへのときめきが止まらない。厳しいことを言われ、マイナスからのスタートなのにこの恋を実らせたいと願う自分がいる。
「それは、そうですけどぉ……」
『さっくんとなべしょと照もそれで色々あったわけじゃん。ふっかも流出の最高峰を経験したやん』
「おいおい。人の週刊誌報道を流出の最高峰とか言うんじゃないよ……」
『事実やん』
「事実だけど事実を並べて攻撃するのは罪だろ！」
落とすのが難しく長期戦も覚悟の上だ。Aは今までの女と違ってそう簡単に落ちてくれない。最難関だからこそ、俺達は出会って10年近く経った今も親友止まりだ。
「事実だから言い返せねえしさぁ……」
『んははっ！』
前の彼氏は目鼻立ちがはっきりとした端正な正統派のイケメンで、高身長で細マッチョで逞しかった。
男らしいながらも面白い。Aが言うには歳が離れているとは思えないような可愛げと甘え上手な一面もあったらしい。
「ムカツキマスネェ……」
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2023年7月1日 21時
