2人だけの秘密 ページ4
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ドームツアーが終わった。私にはアイドルのライブには行かない、というポリシーがあるからSnowManは挑む姿を遠巻きから眺めてきた。
SnowManは春から夏にかけて滝沢歌舞伎からドームツアーをノンストップで駆け抜けてきた。これからも仕事はあるけれどこれで少しはゆとりができる。
「ただいまぁ……」
『おかえり』
でも辰哉くんは明日はオフ、明後日からはゆったりめのスケジュールになっているのに今日のうちに帰ってきた。
『もう少し名古屋楽しんできて良かったんだよ？』
「何？ お前俺に帰って来んなとでも言いたいの？」
『んなこと言ってないじゃない』
「こっちはせっかく例のブツと手羽先買ってきたっつーのによぉ……」
『え、本当？ やったぁ！』
「おい！ 俺の帰りより食い物で喜ぶんじゃないよ！」
辰哉くんから箱と手羽先の入った袋を受け取る。キッチンに入って箱を開けると、私が頼んでいた例のブツ……ひよこ型のプリンが2体仲睦まじく並んでいた。慎重に持って帰ってきたのか綺麗に形を留めている。
「チャレンジ成功してるだろ？」
追いかけてきた辰哉くんは背後から満足げに笑った。
『うん』
このプリンを東京で食べられることが嬉しい。でもそれ以上に東京まで絶対に形を崩さないように帰ってきて、との無茶ぶりに全力で答えてくれる辰哉くんが1番愛おしい。
「俺って天才だからさぁ、バッチリ決めちゃうのよ」
『ふはっ！ ありがとう！』
晴れ晴れとした声に無事にSnowManの今を、愛を届けられたんだな、と実感する。プリンは冷蔵庫に入れた。
「終わった」
『お疲れ様』
ただそれだけを呟き、辰哉くんは正面から私を強く抱き締めた。その手に握られていた荷物がドサッと音を立てて床に落ちる。
「チューしたい」
『しないよ？』
「嫌でもする。20代最後のあなたとチューしたい、お風呂入りたい」
きっと帰りの新幹線の中で1杯飲んできたのだろう。ほんのりアルコールの匂いが漂う。
「そのために帰ってきたんだから」
『え？』
「つーか帰れって言われた。リーダー命令でお前は20代最後の彼女と一緒にいろって」
言われなくても帰るっつーの、と辰哉くんは微笑んだ。
『打ち上げは？』
「後日やる予定。明日もドラマ撮影なやつらがいるからさ、早く帰って疲れ取ろうってことになった」
『若くないもんね』
「おい」
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2023年7月1日 21時
