俺達の知らない彼女 ページ24
·
「うわっ、ヤバっ……」
バラエティ番組の休憩中、ソファーでスマホを見ていたラウが目を大きく見開き、右手で口元を覆う。
「ん？ どうしたぁ？」
「凄いね、美男美女が過ぎるよ」
見せてもらった画面は青い鳥のSNSの投稿を表示している。
「あっ」
そういえば今日、世界同時配信ドラマの情報解禁があると聞かされていた。恋愛系でキスシーンがあった、との事後報告付きで。
お相手こそ伝えられていなかったものの、画面内でAと額をくっつけて仲睦まじく笑いあっているのは国宝級イケメンの殿堂入りを果たした俳優だ。
「こんなの見せられたら太刀打ちできないよね。画面割れそう」
大人の不器用な恋愛をテーマにしているという。W主演の2人を中心に拗らせた恋愛と困難に立ち向かい、物語が繰り広げられる。Aも相手役の俳優も華やかな顔立ちで美形だ。SNSもさぞ盛り上がっているだろう。
「いや、でも俺の方がイケメンだし、俺といるAの方が可愛いだろ？」
「それはそうだけど、ふっかさんの方がイケメンって目が濁ってるよ？ 洗うかメガネの度数調節するべきだよ？」
「なんてこと言うのよ」
2人で揉めていると誰かがえいっ、と俺の肩を全力で叩く。その強さだけで誰だか分かる。
「お前さぁ、力加減しろよ」
「してるんだけど」
ちょっぴり拗ねたように照は声をすぼめた。
「つーかどうしたの？」
「ねえねえ岩本くん、これ見た！？」
女子高生かよ、と言わんばかりに目をキラキラ輝かせたラウは俺に見せたように照に画面を見せた。
「おぉ……」
どうやら照は知らなかったようだ。つい何秒か前までの幼い子供のような表情が消えた。
「吉沢とAかぁ……」
そして神妙に考え込む。5歳児が突然30歳の成人男性に戻る。空気感の違いに戸惑ってしまう。うーん、と顎に親指と人差し指を添え、首を傾げていた照は意を決したように切り出した。
「……ふっか」
「ん？」
「言おうか迷ったけど念のため伝えとくね。吉沢亮には本気で気をつけときな？」
「え？」
「今まで色んな俳優さんとかジャニーズの先輩後輩がAを狙ってたけど、吉沢だけはマジで気をつけた方がいい。澄ました顔で超要注意人物だから」
真剣な眼差しで話すもんだから俺は目が離せなかった。ラウなんて何がなんだか分からず、頭に沢山のハテナを浮かべている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1120人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2023年7月1日 21時
