どういう関係？ ページ19
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仕事終わり、珍しくAの家に行きたい、などと照がほざきやがった。その手には洋菓子店で買ったというお菓子が入った紙袋ともう1つ、白い紙袋が握られている。撮影の休憩中に照からの差し入れだと勘違いした翔太と康二に開けられそうになって慌てて取り返していた。
「よっ」
『あら珍しっ』
どうしたの、と迎え入れたAの部屋のリビングは白やベージュ、ブラウンやライトグレー、クリーム色に囲まれている。シンプルで暖かい。
「A、改めて誕生日おめでとう」
『ありがとう！』
照はお菓子の入った袋を渡した。
「ようこそ、こっちの世界へ」
『その言い方やめてよ。今29と30の違いに恐れおののいてるんだからさぁ？』
「30のAもかぁいいんだからいーの」
「イチャつくんじゃねーよ」
『辰哉がデレただけね？ 私何もしてない』
Aがそう言った瞬間、照は分かりやすく破顔した。口元を手で覆い隠すけれど目が隠れていない。
『なんで笑うのよ』
「いや、呼び捨てになったんだなぁって」
『……うるさい』
Aは両手で耳を隠した。頬の赤みは隠れていないから照れているのが丸分かりだ。やっぱり30のAも可愛い。
「ほっんとかぁいい、この人」
「やっぱイチャついてるじゃん」
うぜぇ、と言い捨てながらも照は失礼します、と一声かけてからダイニングキッチンの椅子に腰かけた。ガラが悪いのに礼儀正しい。
「そうだ、A」
『ん……？』
ペットボトルの水で頬の火照りを冷ましていたAがキッチンから顔を覗かせる。
「この前さぁ、Aの実家に近いキャンプ場でデイキャンプしたんだけど、Aパパと遭遇したんだよね」
照はスマホを取り出し、日に焼けたダンディーなおじ様とのツーショットを見せた。
「は？」
「2人で一服してる時に家に来ないかって言われたから、実家にお邪魔してご飯もご馳走になったよ。揚げ出し豆腐超美味かった」
スワイプした先には照とAのご両親とのスリーショットが収められている。おじ様の隣には品がある女性がいる。美人でAにそっくりだ。
「お前Aのご両親とそんなフランクなの？」
俺はご両親やお兄さん、妹ちゃんと会う度にガチガチに緊張しているというのに？
「うん。話しやすいよね、お2人とも」
「いや、どういう関係？」
俺は混乱していた。
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2023年7月1日 21時
