呼び方を変えてみませんか その2 ページ11
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久しぶりに6人で集まることになったのはふっかの呼びかけがきっかけだった。
泊まりじゃなくていいから俺の家に来てほしい。久しぶりに6人だけのグループが動いた時は不思議だった。つい何年か前まではこれが普通だったのに、いつの間にかめめやラウ、康二がいなければ物足りなくなっていた。
「あのさ、お前らに話がある」
なぜか緊張しているふっかの傍らにはアルコール0.5%の缶ビールがあった。
「俺さ、Aさんの誕生日にプロポーズしようと思ってる」
一瞬時が止まる。室内で微かに冷房が稼働する音だけが響いている。
「マジで？」
佐久間が大きな目を見開く。
「マジ。まだ指輪は買ってないんだけど、プロポーズを受け入れてもらったら一緒に選ぶつもり」
「そっかそっか、成功すると決まったわけじゃないけどおめでとう」
「あの、怖いこと言わないて？」
「深澤がもう1人増えるんだね。どっちをふっか呼びしようかな？」
「それはもうAだろ。こいつは化け物でいいと思う」
「化け物やめろ！ 元祖ふっかは俺だからね！？」
阿部も涼太も佐久間も反対なんてしない。
「勝手に元祖を自称してんじゃねえよ」
「そんなんだから化け物呼ばわりされるんじゃない？」
「お前ら厳しくない……？」
皆素直になれないだけだ。皆嬉しくて照れくさいんだ。中学生の頃から、人によっては小学生の時からずっと一緒に頑張ってきた仲間の1人が人生の節目を迎えようとしている。
ただの同級生、先輩が結婚するのではない、特別な感情が芽生えるのは当然だ。
「嘘うそ。Aちゃんが振るとは思えないからプロポーズはまだだけど、結婚は決まったと思ってもいいんだよね？」
「……おう」
「そっかぁ。ふっかがSnowMan第1号かぁ……」
「超おめでたいよな。俺が浮き足立っちゃいそう」
「完全同意」
阿部と佐久間は2人見つめあってキャッキャウフフ、と女子高生のように喜んで沸いている。
「お嬢の選んだ人だから狂いはないと思うけど、お嬢を泣かせたらふっかから遠慮なく奪うよ？」
「嬉し涙はダメ？」
「許す」
涼太もうんうん、と頷きながら嬉しそうに微笑んでいる。
「お前、本当いい意味で変わったな」
「んぁ？ そうか？」
「かっこよくなったもん」
俺とふっかは同類。でも人生を懸けて愛する人がいるかどうかが違っている。
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2023年7月1日 21時
