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「今から1人で家に帰るか、俺とドライブに行くか。どっちか選んでください」
『1人でドライブする。またね、辰哉くん』
「おぉい。そんな選択肢はねえよ」
どうしても1人で行きたいのか、と辰哉くんは焦っている。
「せっかく折り返したのに……」
『本当に嫌なんだって。今隣歩くのも嫌だもん』
「なんでそんなに辛辣なのよ。俺に見つかったのそんなに嫌だった……?」
どうやら辰哉くんは忘れている。自分の顔が素顔ではないと。
『見つかったのが嫌なんじゃなくて、その意味分からんペイントの顔の人と歩くのが嫌なの』
「あっ」
『バケハで変に隠れてるし眼鏡かけてるし今不審者みたいだよ? よく止められなかったね』
「不審者じゃないよ! 春キャベツなの、これは」
『春キャベツ?』
そうこうしているうちに地下の駐車場まで着いた。
『なんで春キャベツ……?』
「番組でなぁ、罰ゲームなんだよ。春キャベツになって帰宅するって」
『何それ。怖すぎる』
色んな意味で怖い。おばけよりも怖くて不気味だ。
いつもなら辰哉くんの罰ゲームに爆笑するけれど、今日の私は違う。内容と見た目のインパクトが強くて引いてしまっている。捕まらなかったのが奇跡だ。
私が車を停めている場所に着いた。鍵を開けると辰哉くんがいつものように助手席に乗る。
『待って』
「何ぃ?」
『その顔で一緒にドライブするわけないでしょ?』
「ダメ?」
『ダメ。仮に週刊誌に撮られたとして、藤井A、春キャベツ深澤と深夜のドライブなんて書かれたくない』
それだけは絶対に避けたかった。
「その春キャベツの付け方はお笑い芸人のコンビ名じゃん。俺アイドルね? SnowManっていうんだけど」
『よく知ってるよ、バカ』
撮られるのは嫌だけど、春キャベツ顔の深澤と撮られたらもっと笑いものになる。
『待ってるから顔洗ってきて』
「ここに拭き取りのメイク落としは?」
『ありません』
コンビニに行けばあるだろうけど。
『分かった。今からコンビニ行くから、辰哉くんは絶対に降りないで。お金も払わなくていいし、とにかく顔をどうにかして?』
「はーい。でもお金は払わせて? 領収書よろしく」
結局私は春キャベツ顔の彼氏とドライブに行くことになった。
なんやかんや文句を言いながらも、バラエティ番組で爪痕を残せたらしいのは嬉しかった。
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すみ(プロフ) - こんにちは!遂に共演が!興奮してコメントしてしまいました。きっとsns荒れただろうなと……楽しみにしています! (2023年5月7日 15時) (レス) @page30 id: 013c7a8c5b (このIDを非表示/違反報告)
あおやなぎ(プロフ) - すみさん» 初めまして。コメントありがとうございます! 実は考えているところなのです…! 先のことになると思いますが、気長に待っていてくれると嬉しいです! これからもよろしくお願いします! (2023年4月23日 22時) (レス) id: 2272bdf112 (このIDを非表示/違反報告)
すみ(プロフ) - はじめまして!Time goes by拝見しています。2人の掛け合いが 大好きです!いつか番組で共演して仲良しな姿を見てザワつくお話を読みたいです。というか……早く結婚して幸せになってほしい気持ちです。これからも、楽しみにしています! (2023年4月22日 21時) (レス) id: 013c7a8c5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおやなぎ | 作成日時:2023年4月21日 21時