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好きって言ってよ ページ4

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あの日の夜から夢のような時間が続いている。1年と少し、俺が本気でアピールし続けてきたAが彼女になった。

俺はまだデビューもできていないひよっこで、Aは幼い頃は子役、成長してからは女優として光の道を歩んできたエリートだ。もがいても追いつけないくらい先頭を走り、まだ若いのにセキュリティ万全な高級タワーマンションに住んでいる。


「あの、A」

『ん?』

「抱き締めてもいい……?」

でも俺にはモテる自覚があった。高校に進学してから本格的にモテ期に入り、大した本命ではないけれど彼女は尽きない。

彼女がいない時は遊びに耽る。大人になってからも女には困らない。欲を満たすだけの女が何人もいた。


『いいよ?』

だから戸惑っている。

本気で人を好きになると触れたいのに容易く触れられない。ハグをするだけでも聞いてしまう。心臓がバクバクだ。自分が自分でいられなくなる。


『おいで?』

Aが両腕を広げてくれてようやく触れられる。そんな状態がずっと続いている。

その背中に両腕を回す。長くて細いのにハリのある腕が俺の背中を抱き締める。柔い温もり包まれると緊張するのに安心する。


「A……」

『ん?』

「好きだよ」

『私も』

俺は自分が日々わがままになっていくのを感じている。もっともっとAを知りたい。

親友の時以上に親密になりたい。Aの全てを俺の全てで見て触れて感じたい。でも無理にパーソナルスペースに触れて嫌われるのは絶対に嫌だ。本気で人を好きになると臆病にもなる。この幸せがなくなるのを恐れている。


「……好き。好きしか言えない」

自分が甘くなったのはきっとAだから。嫉妬に無縁で元彼と仲が良くても気にしなかったはずの俺が、Aが誰と話しているのか気になる。

共演者と電話していたと言うけど、LINEで盛り上がっていたと言うけど、相手は女なの? 男なの? 臆病な俺は聞けない。そして臆病な俺はAに訴えることもできなくなった。


『いいよ。そういうふっかも受け入れる』

あの夜、Aは俺が好きだと言わなければいくら同じ想いでも付き合わないと言った。それどころか親友としてもフェードアウトして、縁を切るとまで言われた。お互いが男女として惹かれ合っているのを勘づいていた。

でもAはその上で覚悟を決めていた。

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設定タグ:SnowMan , 深澤辰哉   
作品ジャンル:恋愛
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すみ(プロフ) - こんにちは!遂に共演が!興奮してコメントしてしまいました。きっとsns荒れただろうなと……楽しみにしています! (2023年5月7日 15時) (レス) @page30 id: 013c7a8c5b (このIDを非表示/違反報告)
あおやなぎ(プロフ) - すみさん» 初めまして。コメントありがとうございます! 実は考えているところなのです…! 先のことになると思いますが、気長に待っていてくれると嬉しいです! これからもよろしくお願いします! (2023年4月23日 22時) (レス) id: 2272bdf112 (このIDを非表示/違反報告)
すみ(プロフ) - はじめまして!Time goes by拝見しています。2人の掛け合いが 大好きです!いつか番組で共演して仲良しな姿を見てザワつくお話を読みたいです。というか……早く結婚して幸せになってほしい気持ちです。これからも、楽しみにしています! (2023年4月22日 21時) (レス) id: 013c7a8c5b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あおやなぎ | 作成日時:2023年4月21日 21時

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