Time goes by 3rd

しっかりしてそうやのに ページ22

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俺もおるのに……！ ラウに取られて一切話せへん……！

ツッコミはちょいちょい入れられるけど、ラウの人懐っこさと推しへの敬愛、ふっかさんの牽制の前に太刀打ちできない。俺は1人悶々としながら、3人のやり取りを聞いていた。


『でもラウールくんって真都くんよりラウって呼ばれたいんじゃないの？』

「それはそうなんだけど……、待って、なんで知ってるの？」

『なんででしょう？』

「ねえ、遊んでる？」

音楽番組で何度かすれ違ったことはある。挨拶もした。

でもまともに話したのは今日が初めてだ。ラウはすっかり藤井さんに気に入られている。俺は全く話せないのに。


「おぉい！ イチャイチャすんな！」

ふっかさんもヤキモチを妬いてしまうくらいだ。

ラウが幼い頃からずーっと推しだったという藤井Aさん。後輩の西畑大吾がかつて朝ドラでお世話になった女優さんだ。Jr.内やと雲の上の存在やった6人のSnowManやけど、同世代の藤井さんの活躍ぶりを見れば失礼ながら歴然とした差があった。


「してないんだけど。これは、姉弟の戯れ！」

「どう見ても年下彼氏と年上彼女の雰囲気だったじゃぁん……」

だから藤井さんとSnowManは6人になる前から深い関わりがあって、実は最年長の高校の後輩でリーダーの同級生やったなんて、俺は全く知らんかった。


「あーやだやだ……。本当やだ」

『どうしたのよ。目黒くんが来た時より荒れてるじゃん』

そして、甘え下手な最年長が彼女に対して底なしの重い愛を持っていたことも当然知る由もなかった。


「めめはさ、そこら辺一線を引いてたじゃん。阿部ちゃんもいたし。でもラウはまだ分かってないじゃん。距離感バカだし恋愛未経験だし」

『そうなの！？ このビジュアルで恋愛未経験！？』

「Aちゃん、そこは多分驚くとこじゃないよ？」

ものすごく冷静なツッコミがラウから繰り出された。

もう1つ知らなかったこと。それは藤井さんは華があってしっかりしているのに、意外に抜けている部分がある。


「俺ずっとジャニーズだから恋愛してないの」

『アイドルの鑑だ……』

「好きな人がいたことはあるんだけどね。デビューしたし、撮られた時のリスクを考えたら手を出せないんだよねぇ……」

『デビューする前に週刊誌に撮られた深澤って一体……』

「Aさん、やめてください」

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