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仕事で自分を後回しにしてストレスを溜めたふっかは以前、安心を求めて女を取っ換え引っ換えしていた。人当たりの良さと愛されやすい、親しみやすいキャラクターで女だけは尽きなかった。
「あっ、そんな感じ？」
「そんな感じだろ。お前何年藤やんと付き合ってんだよ！」
「友達時代も長いのに」
「そんな責めるなよ……」
ジャニーズJr.のくせに酒や煙草の匂いを落とさず現場にやって来ては、翔太と一緒にマネージャーに怒られる姿は6人体制時代によく見かけた。
成人しているから法律に触れなければ多少の失敗は見逃される。でもデビューを目指すアイドルの所業ではない。お前達はそんなんだからいつまで経ってもデビューできない。実力はあるのに風紀で無駄にしている。SnowManのリーダーとしてすごく悔しかった。
「これは自分のを買うべきかな」
「当たり前に買うべきだよ。ついでにAの分も買っときな？」
同年代の俳優や女優もブレイクして大きい仕事を勝ち取っていく。対してSnowManは下積みだけは長くて燻ったままだ。
笑顔の裏で苦しんでいた自分達を見捨てずにいたのがAだった。もちろんAも荒れたSnowManを知っている。女遊びに講じるふっかも見てきた。
”私、今のふっかとだけは絶対付き合いたくない“
”ええ！？ なぁんでよ、俺優しいのに“
”モテるのを自覚してるのがやだ。何もしなくても女が寄ってくるから、1人ひとり相手してやってる的な？ 見下してる感じする“
”待って。俺見下してるように見えてるの……？“
ふっかが遊びまくっていた何年か前の夏、俺と佐久間、ふっかとAの4人で飲みに行ったことがあった。
”見えるよ。どうせあいつら俺しかいない、的な“
”藤やんだけだよ。ふっかを容赦なくぶった斬る女子は“
”いや、他の女の子達が騙されてるんだよ“
その中で恋愛の話題が始まった時、Aはふっかを真っ二つにぶった斬った。
”私さあ、多数にモテる人生よりも1人を愛して、1人に愛される人生の方が幸せだと思ってるんだよね。
私自身そういう先輩を何人も見てきてるけど、ほとんどが幸せそうだもん。俺は私はこの人を愛してるんだぞー、この人に愛されてるんだぞーって自信に溢れてる。顔のパーツやら骨格やらで世間でブサイクって呼ばれる人だって自然とかっこよく見えるし、可愛く見える“
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2023年3月3日 22時
