変えた人 ページ6
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自分からは好きと言わない。相手に好きと言わせたい。嫉妬は絶対しない。最終的に戻って来てくれるならそれでいい。できれば相手にもしてほしくない。甘えるよりも甘えられたい。
良くも悪くも彼女に自立した関係を求める。男として相手のリアクションを受け止めたいはずのふっかが俺の同級生の掌で見事に転がされている。
「ふっか」
「ん？」
「鼻の下伸びまくってるよ。今5mあった」
「おっ、記録更新してんじゃん！」
「5mねえよ！ 記録も更新してねえよ！」
きっと連絡を取っているのだろう。ふっかは連絡の相手がAだと大体顔が緩む。付き合う前からずっとだ。
加入組の目黒やラウ、康二は誰かは知らないけど、ふっかに彼女がいるのは察した。LINEをしながらニヤけるほどに大好きなのも分かっている。
「どう？ Aと上手くいってんの？」
「逆に上手くいってないように見える？」
「ぜんっぜん」
対して初期のメンバーはふっかの女の正体をよく知っている。
「お前意外と続いてんね。なんかすぐ別れると思ってた」
「ふっかが振られるんだろ？」
「そうそう。思ったよりブス！ 無理！ って」
「貴様ら俺にもAにも失礼だな？」
ふっかとAは友達の延長線上で男女の仲になった。高校生の時から仲は良かったけれど、Aのとある発言があって、友達の域を抜け出せないだろうと思われていた。
でもいつの間にやら愛を育み、気づいた時にはふっかがAの住むマンションに引っ越して半同棲まで始めている。
「あのね、誰が何を言おうとAは俺が好きなの。分かる？」
「超うぜえ」
「お前チクるぞ。ふっかが勝手にAのクリーム使ってるって」
メンバーであり、仕事仲間でもある俺達はそれぞれが親友でもある。アイドルとしては大事な時期に恋愛なんて言語道断だ。
でも親友として、1人の男としてはふっかがAと付き合っていることはとても喜ばしい。2人の間にはいつだって唯一無二の絆で結ばれている。俺達はどんな時だって一緒に頑張ってきた。ふっかは誰よりも気を使い、グループのために自分がどう振る舞うべきかよく考えている。
「やめろよ！ まだバレてねえんだよ！」
「いやバレてるだろ。明らかに減り早いだろうし、Aの性格的に今は黙ってるだけでさ、使った分だけ後で使用料取るんじゃない？」
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2023年3月3日 22時
