Time goes by (ページ42)

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苦労しなくても女の子達が寄ってくる。でもAはそういう子達とは全く違う場所にいた。モテて浮かれる俺を冷めた目で見ていたAが……？

「本当だよな？俺ら、今からマジで付き合おうとしてるんだよね……？」

『そうだよ？』

ほんのり頬を赤らめたAはカプチーノ1つください、とマスターに注文する。

『ふっかの気持ち分かんないけど、私はふっかと一緒にいたらこの先の人生も沢山笑い合える気がする』

「分かってるくせによく言うよ……」

『そっちこそ分かってるでしょ？私の気持ち』

互いに見つめ合うとついつい照れ笑いが込み上げる。だから口が悪くなる。たった数ヶ月で急速に色を無くした瞳には色が戻った。俺の姿も映し出されている。お前だって言わねえじゃんか。本当は言い返して叫びたい。

「……分かってる。俺が言わなかったら離ればなれになるのも」

でもAの決意を聞いた時、離れたくないと感じてしまった。10年かけて築いた絆を切りたくないと悲しくなってしまった。その時点で俺の負けだった。

「A」

『ん？』

「俺さ、Aが好きなんだ。離れたくねえんだ」

Aに言わせるつもりでこの1年アピールをしてきた。電話をするのもイヤリングをプレゼントするのも、全てAの中に少しでも男としての俺が生きてほしいからだった。その中でAの負の変化に気づいた時は親友としても男としても放っておけなかった。

「俺もお前と同じようにこれが最後の恋愛だと思ってるし、結婚に繋がる相手だから慎重になりたい。でもお前とならどんな試練も楽しく乗り越えられる気がする」

俺にとってのAは家族やSnowManと同じくらい守りたい存在だ。俺に自分を労ることを教えてくれた恩人だ。

「だからさ……、付き合って？俺が安心できる場所になって？」

Aは嬉しそうに微笑んで頷いた。

『うん。こちらこそ付き合って？私が安心できる場所になって？』

「なるよ。今までもこれからも」

親友の1人に過ぎなかった女が、俺にとって1番大切な人になった。

『なんか不思議な気持ちだね』

「おう。でもこれからも変わらない関係でいような？」

『うん』

「突然態度変えられても困るし、友達みたいなカップルでいたい」

『私も』

好きだと言わせるつもりが言う羽目になった。多分Aには一生勝てない。