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『プラマイ2歳？』
「そう。歳が近い男ってA的にどうなのよ」
『そうだなあ……』
固唾を飲みながらAの口から出てくるはずの言葉に期待と不安を膨らませる。
『悪くない、としか言えない』
Aは苦笑いを零した。
「その心は？」
『ねえ。大喜利みたいになっちゃう』
あえて砕けてみたのはこの想いをまだ悟られたくないからだ。
『ふっかが珍しく真剣だから割と真剣に答えようとしてるのに』
「珍しいは余計だな。でもなんで悪くないしか言えないの？」
『同世代と付き合ったことがないから。ふっかも知っての通り、私はあの人としか付き合ってない。20歳になるまでずっとお仕事1本で頑張ってきたから、そもそもの恋愛経験値が低いわけ。
だから同世代と付き合うのは悪くない。それしか言えない。こればっかりは経験してみなきゃ分かんない』
Aはすっかりぬるくなったであろうカフェラテを口に含んだ。クールな見た目でミルクがないとコーヒーが飲めない。砂糖はいらない。でもミルクはほしい。思わぬ子供っぽさと可愛らしさにもキュンと胸が弾む。
「じゃあ、早いとこ同世代とも付き合いな？」
『え？』
「お前の周りには6人もプラマイ2歳以内の男達がいるんだから」
Aはまばたきを繰り返す。
『6人って、まさかSnowManのこと？』
「そういうこと。タイプ違うしよりどりみどりだろ、SnowManって。ギャップの照、人懐っこさの佐久間にツンデレの翔太。ジェントルな舘さんに優しさの阿部ちゃん」
『確かに』
「そしてなんと言っても、顔も心も全てがイケメン。深澤辰哉」
『アホか！』
やっと楽しそうに笑ってくれた。あの男の話をし始めてからAはずっと静かに怒って寂しそうだった。楽しそうに笑ってくれるならそれでいい。でも俺の隣で、俺の言葉やネタで笑ってくれるならもっといい。
『元気出た。ありがとう、ふっか』
Aはにこやかな表情でそう言った。
·
『そんなこともあったねえ……』
俺の腕の中で台本を閉じたAは振り向いてにっこりと微笑んだ。
「あの時お前がバッサリ斬ってくれなかったら俺、今でもフラフラしてたと思う」
俺にケジメを付けさせてくれた人。俺の恩人。
「お前の良さにも気づけなかった」
『デレすぎて怖い……。悪いことした？』
「そんな日があってもいいだろっ！」
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2023年3月3日 22時
