Time goes by (ページ17)

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全部奢りだ、と言えば沢山食べるぞ、と宣言する。俺の後輩達は遠慮を知らない。1つしか変わらないから友達みたいなものだけど、Aも照も阿部ちゃんも本当に手加減なくおつまみを頼んでいく。

『美味しい……！』

「人の金で食う食べ物ってなんで美味いんだろうね？」

今日はブラック阿部ちゃんの日だ。俺の目に映らないだけで頭に悪魔の角が生えている。

「分かんない。とりあえずまた唐揚げ頼まねえ？」

『了解！ついで飲み物も追加しよう？ふっか今日飲んでないし飲みな？』

「いや、いいよ。今日は休肝日だし」

『居酒屋行くのに休肝日？』

変なの、と小さく笑うA。休肝日なんて嘘だ。席に着くまでは飲むつもりでいた。
でも照がAの隣いいよ、と譲ってくれた。俺自身強くはないし、何よりお前が間違えて飲んで明日の朝辛くならないように我慢してるんだよ。きっといつまでも言い出せない。

「つーかさ、A。なんで俺に教えてくれなかったのよ」

『何を？』

「彼氏。別れたらしいじゃん」

その瞬間、照と阿部ちゃんが明らかに動揺した。

『あー、その話？うん。別れた』

まさか俺が過去の恋愛について話を振るとは思わなかったのかもしれない。

『冬が始まる前にね』

俺は失恋した目の前の女が好きだから。

『私から別れてくださいって言っちゃった』

「マジ？お前から？」

『私から言わないように見える？』

「見えない」

AはSnowMan全員に彼氏の写真を見せてくれていた。お相手は12歳年上で高身長。照と同じくらいの背丈だ。照ほどゴツいわけではないけど細マッチョでもある。モデル体型で脚が長い。誰もが認める彫りの深いイケメンだ。その上性格も穏やかで優しくて面白いらしい。

元々同じ事務所の先輩後輩であり、事務所内で遭遇したり共演を重ねたりして仲良くなるうちに惹かれ合ったのだという。

「でも別れるようには見えなかった」

正直な気持ちだった。Aは本当にその人が好きだったし、その人もかなりAを愛していた。俺らが飲み会をしてお開きの時間になると迎えに来ている、なんてこともあった。Aの年齢的にも相手の年齢的にも結婚するのだろうとさえ思っていた。

結婚したら自由にAを連れ出せなくなる。彼氏に渡す前に今を楽しもう。それがSnowManの共通認識だった。