Time goes by (ページ15)

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今日もまた照は仲間はずれだと拗ねている。

『照はチョコで許して』

「マジ？俺のもあるの？」

『絶対言うと思ったし買うに決まってるやん？』

Aがはいどうぞ、とチョコレートの袋を渡せば、みるみるうちに照が破顔する。少年のような笑顔はずっと変わらない。照のがあるということは多分俺のもある。

『で、これが私の。自分へのご褒美チョコ！』

Aはもう1つの高級チョコレートの袋を自慢げに俺に見せびらかした。

「おい！」

『ん？』

「俺のがないじゃん」

照と阿部ちゃんが苦笑いを始める。俺の気持ちを知っている2人はどこかからかっているようにも見えた。

『欲しいの？』

「欲しいよ！」

『えー。でもふっかはこういうの遊びの女の子から貰うでしょ？別に私のはいらんくない？』

「やめたよ」

『え？やめた？』

Aは口を半開きにしてキョトンとする。

「遊ぶのはやめたんだよ。誰かさんに魅力マイナスって言われてショックだったから」

『ええ！！！』

ドラマや映画に出るけれど、舞台も頑張るAならではのよく通る声が個室に響いた。

『ふっかが？あのふっかが遊ぶのをやめた？』

「お姉さん、俺をなんだと思ってるの？」

『え？おっぱじめモンスター。多分パンツ履かない男。安心できません、履いてないから』

「おいっ！！！いっつも履いてるよ！！！」

この場に翔太がいなくて良かったと思う。俺はあの時、Aがオブラートで厚く包んで意見を述べていたことを思い知らされた。あまりにも鋭くて熱い火の玉ストレートがやっとかっと修復できた俺の心を再び深く傷つける。

「ふっはっはっ！ふっか、お前随分酷いこと思われてるみたいだぜ？」

「仕方ないね。今までがだらしなかったから」

便乗して照や阿部ちゃんにまで過去のやらかしを弄られる。

『というか気づいてないんだね。ふっかは油断したらお持ち帰りを企むから、隣に座る時は必ず仕切り代わりのバッグを置いてるの。あとできるだけ向かい側に座るようにしてる』

「そ、そうだったの……？」

付き合いたくない、男としての魅力がマイナス。色々と言われたけれど、高校時代からの親友でもあるAに警戒されていたことが1番悲しい。
好きになった女はとても手堅いのに同じ遊び人だった翔太には心を開いている。俺に鉄壁のガードを壊せるのか？