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ふっかだって人に頼るのが下手くそなくせに。そんなことを言えば拗ねるだろうから言わないでおいた。
『じゃあ、遠慮なく頼らせてもらおうかな？』
「おっ？」
『ふっかとこういう話するのは久しぶりだけど、今回はプラスな話だよ』
「プラス？」
『まずは質問ね？』
私はふっかに体を向けて、その目をしっかりと見据えた。
『ふっかは男女の友情って成立すると思う？』
「男女の友情？ うん、成立する」
言うと思っていた。彼はその辺りの見境を誤る人ではないから。
『だよねえ。私も思ってる。でも時と場合によるんじゃないかって思って』
「ん？」
『私さ、新しい春来そうなの』
「春？ もしかして恋愛的に？」
『うん。気になる人できた』
でも、私はこんなことも知っている。私が照を含めた色んな男性の話をする時、ふっかはいつも不機嫌そうだ。
「……どんなやつよ、お前が好きな男って」
『親友』
「は？ 親友？」
『うん。男で親友って呼べるの2人しかいないんだけど、そのうちの1人が今私が気になってる人なの』
「だから男女の友情が成立するかどうか聞いたわけ？」
『うん』
ふっかは今日もそう、と素っ気ない。
「でもさぁ、気になってるって好きとは違うの？」
『いや、同じだよ。でも気になってる。そこだけは譲れない』
「何で？ 何で譲りたくないの？」
『そいつさ、自分から好きって言いたくないんだって。相手に言わせたいんだって』
ふっかはハッとして目を見開いた。
『相手に言わせるように仕向けてるんだってさ』
友達として今年で10年の付き合いだ。今は高校時代ほど頻繁に会っているわけじゃないけど、考えていることくらい私にだって分かる。
『自意識過剰かもしんないけど分かるんだよね。私に言わせようとしてるなあって』
「間違ってねえと思うよ？」
彼もきっと私の好意を敏感に感じ取っている。
『本当にムカつく。モテること自覚してるもん』
「仕方ねえよ。実際性格いいしイケメンだし」
『イケメンかどうかは置いといて』
「おい。冗談でもイケメンって言ってやれ」
絶対に言ってやらない。普段の私なら比較的アピールをする。チャンスだと思えば告白だってする。好きだとは言わなくても好きだと思える行動を取ってきた。でも今回は甘言に乗せられてはいけない。それが深澤辰哉の攻略法だと信じている。
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2023年3月3日 22時
