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「ねえふっか」
「ん……？」
ふっかは照れくさそうに首筋を撫でる。
「俺、のぞみとふっかは絶対に気が合うと思ったから紹介したんだよ？」
実際2人は秒で打ち解けた。1つ違いで先輩後輩の間柄でもあるはずなのに、“深澤先輩”、“Aちゃん”の時間を大体20分で終わらせて“ふっか”と“A”になった。
「いつか付き合わないかなーって思ってたし」
校内でふっかのファンをする女の子達もAには勝てないと判断したのか、2人が仲睦まじく話している時はそっとしていた。もちろん例外もいる。邪魔をする子はふっかのファンに容赦なく叩きのめされていた。
「でもお前らお互いに絶対付き合わないって言って親友で止まってたし、そのまま大人になったから本当に付き合わないんだろうなって思ってた」
付き合えばいいのに、と冷やかされる度にAとはそういうのじゃない、ふっかとはありえない、と否定し続けてきた。
滝沢くんにさえもふっかーとAちゃんは将来結婚している姿が思い浮かぶ、とからかわれていた。アイドルのトップを走ってきた人にそう思わせるほど相性がいい。
「俺に隠して付き合ってたのはジェラシーだけど」
「ごめんな。ほんっとうに、そんなつもりはなかったのよ……」
「分かってる。Aも説明してたし。お前らのことだから別れない確証が持てるまで隠してたんじゃないかって思うし」
でも2人は愛を育んでいた。自らの手で。地に足をつけて。紹介したものとしてこれほど嬉しいことはない。
「Aならふっかを任せられる」
『私に任せるの？』
Aは少しちょけながら耳たぶを触った。きっと照れている。
「Aにしか任せられないよ。ふっかが間違った道を歩こうとしてる時はちゃんと質してくれるし、よく分かってる」
相手がどんなにいい子でも、どこの馬の骨かも分からない女にふっかは任せられない。
「それにさ、俺聞いてるもん。ふっかがどれだけAが好きなのかって。多分付き合う前の悩みとか、Aが可愛くて困ってるとか」
「ちょっ……！ 暴露はやめろよ！」
色白の肌が赤く染まった。
「他にもあるよ？ Aのキスシーンをものすごく複雑に思ってたり、元彼がイケメンすぎるから再会してまた好きになったらどうしようって嘆いてたり。ありえないのにね」
「やめろって……！」
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2023年3月27日 21時
