Time goes by 2nd (ページ46)

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『私、そんなこと言った？』

動揺したのかパッと視界が拓けた。振り返れば顔を真っ赤っかに染めたAがいた。

「やべ、超嬉しいんだけど」

『……うるさい』

真っ赤なままキッチンへ逃げて冷蔵庫を開けたAはそのまま中に顔を突っ込んだ。ポロッと本音を漏らしたことで相当恥ずかしかったのだろう。

火照りを冷やすためとはいえ、理性を失った猟奇的な方法だ。

「照が帰ったらいっぱいチューしなきゃ」

対照的にふっかはニヤけが止まらない。見ていてムカつくほどだ。

「今日泊まっていこうか？」

『いいよ。私が許す』

「やめろ！イチャイチャさせろよ！ Aもイチャイチャしようよぉ！」

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「じゃあ本当にドッキリじゃないんだね。事実として受け入れていいんだね？」

「おう。神に誓ってドッキリじゃない」

信じるとは言ってみたもののやっぱり信じられなかった。
Aの気持ちが落ち着き、アイスコーヒー1つとアイスココア2つが準備された所で改めて話を聞く。

『黙っててごめんね？本当はもっと早く報告するべきだったと思うんだけど、コロナで会いにくくなったし、照は色々あってそれどころじゃなさそうで延びちゃった』

「本当だよ。俺付き合いたてホヤホヤのお前ら茶化したかった」

「茶化すのを目的にすんな」

ふっかは苦笑いをしながらアイスコーヒーの入ったグラスにストローを差した。

「そっかぁ、ふっかとAが付き合ってるかぁ……」

その意味を反芻する。

進学先の高校が同じだったのを機にふっかとはプライベートでも仲を深めた。Aとは再会して止まった時間が再び動いた。

出会った時から俺は仕事においても1人の人間としてもふっかとAが大好きだ。そんな2人を出会わせたら、俺達の高校生活はもっと楽しくなるのではないか。

当時Aは手術明けで絶対安静を強いられた時期だったけど、季節が進めばまた抜群の運動神経を披露してくれるはず。Aの美しくもアクロバティックなダンスをふっかにも見てほしい。動作の間合いが抜群にかっこよく、癖のないふっかのダンスをAにも見てほしい。

すぐに会いに行ける距離にいるのに互いを知らないなんてもったいない。だから俺は2人を紹介した。

若くして背負ったものが大きい2人でもあったから、気が合うはず、合ってほしいと願いを込めて。