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ふっかさんもAちゃんも年下の俺を……僕を決して贔屓せずに見せつける。2人とも優しいから言葉にはしないけれど、付け入る隙はない、と言われているようだ。
「ふっかさんが大好きなんは気づいてたけど、Aさんも大概ふっかさん大好き人間やないですか……」
『どうだか！』
「なぁ！ そこは大好きって言うとこだろぉ！？」
いくら世間に深澤辰哉はブサイクキャラ、かっこよくないと言われようが、SnowManと付き合うならドラマでカップルを演じためめが良かった、と残念がられようが、推しは一生ふっかさんを愛するのだろう。
「俺、生まれて初めてふっかさんになりたいと思った」
『いや、ラウールくんはラウールくんのままがいいと思うよ？』
Aちゃんはふんわりと大人の女性の色気を漂わせ、テーブルに肘をついた。
『よく想像してみて？ 深澤として癖の強ーい8人をまとめなきゃいけないんだよ？ ボケ散らかすし弄り倒すし、無茶ぶりは飛んでくるし、かっこつけながら笑いを取らなきゃいけない。ラウールくん耐えられそう？』
「……無理かもしれないです」
『でしょ？ だから真都くんは真都くんのままでいいの』
「えっ！」
『ビジュアル担当としてモデルやってセンター張って、ボケてツッコんでお兄ちゃん達に甘えて自由にやればいいんだよ。末っ子なんだから！』
僕は褒められて本名まで呼んでくれたことで頭がいっぱいになった。真都くん。ファンから呼ばれなくなって久しくなった。
でもいつかAちゃんに会えたら呼んでほしいと願い、夢にまで見るほどだった。
「Aちゃん」
『ん？』
「やっぱり好きです！ 大好きです！ ずっと真都くん呼びしてください！」
付き合えないのにテンションが上がった。
『えっ？ いいけど』
「おぉい！ またナンパしやがって！」
「ナンパじゃないもーん」
友達にはなれる。弟にだってなれる。僕は末っ子。末っ子の特権を思う存分に使って甘えるんだ。
「Aちゃん」
『ん？』
「僕のお姉ちゃんになってくださいっ！」
一瞬目を大きく見開いたAちゃんはいいよ、とすぐに可愛らしい笑顔を向けてくれた。
『ねえ辰哉くん、大きくて可愛い弟ができちゃった』
「お前これ以上弟増やしてどぉするつもり？ 俺には弟の皮被った狼にしか見えないよ？」
『視力悪っ』
「元々だよっ！」
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2023年3月27日 21時
