Time goes by 2nd (ページ41)

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『いいよ。付き合おっか？』

「えっ！」

Aちゃんはなんでもないように頷いた。

「は？お前……」

『ただし条件がある』

途端に泣きそうな顔をしたふっかさんを制止し、一瞥したAちゃんはニヤリと口角を上げた。

『ラウールくんは深澤辰哉を超える男になれる自信がある？』

「ふっかさんを超える男、ですか？」

『私ねぇ、今まで色んな男性と出会ったけど辰哉くんを超える男性ってなかなかいないと思ってるの。

silent的に言えば湊斗みたいな人。主成分優しさで誰に対しても、地獄に落としたいくらい嫌いでも優しくしちゃうくらい優しい。でも自分に残し忘れて疲れ果てることがある。そんな人だよ、辰哉くんは』

俺は答えられない。自信を持ってふっかさんを超えられる、とは言えない。

『デビューできなくて同世代の芸能人には置いていかれるし、後輩には追い抜かれちゃってものすごく悔しいはずなのにおめでとう、頑張れって笑顔で背中を押すの。本当はお風呂で1人で泣いてるのに、だよ？』

「なんで知ってんの？」

『こちとらMis SnowManから知ってんの。ママと妹ちゃんとは旅行もしてるんだからね？情報網なめんな？』

「こえぇよ……」

ふっかさんは甘えるようにAちゃんの肩に顎を乗せた。

『辰哉くんは他人のために自分への優しさまで使い果たす人だから、せめて私だけは優しくありたいの。

化け物だとかプレデターとか言われてるけど、顔も心もちゃんとイケメンなんだから。ラウールくんは私にそう思わせてくれる人？』

「……分からないです」

『じゃあ付き合えないなぁ』

ばっさり振られてしまった。竹を割ったようにまっすぐな性格でさっぱりしている。でもそこがAちゃんを推し、尊敬している部分だから胸がギュッと苦しくなった。

『残念ながら辰哉くんの代わりはいないのよ』

分かる。とてもよく分かるから悔しい。

『辰哉くんって今だとSnowManをまとめる立場だけど、普段はゆるゆるだし流されやすいし迷いやすいの。本気で事務所辞めようとして皆に止められたし、女遊びもしまくって魅力ゼロ以下マイナスって言われたこともあるくらい荒んでた時もあった』

「お前に言われた」

『そうだっけ？』

「言われた方は覚えてんの！」

俺の知らないふっかさんをAちゃんは知っている。きっとその逆も然りだ。