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クルクル転がされてスイッチボタンのように押される。こんなのシラフでもそうじゃなくても、下腹部の奥がギュッと締まる。
『辰哉くん何も分かってないよ』
「……何が」
裸でもそうじゃなくても甘い雰囲気が流れる。辰哉くんは拗ね拗ねくんのスイッチが入ったようだけど、入ったがゆえに分かっていない。
『私が胸で感じるようになったの、辰哉くんのせい』
「え？」
『こういう時毎回触るから！』
「そうなの？」
『バカ。言うつもりなかったのに……』
「やば……、可愛すぎんね？ お前」
拗ね拗ねくんから一気にご機嫌になった辰哉くんは右手を繋がる場所に移動させる。
『湯船の中はやだ』
「知ってる」
そーっとゆっくりとなぞる手つきがいやらしい。
「お湯以外で湿ってんね？」
『恥ずかしいから言わないで』
「わざと」
お風呂は一糸まとわぬ姿で本音で語り合える場所だ。何も考えずに語り合えるけれど、裸で男女が密室で密着し合うと自然とそういう雰囲気にもなる。今日はその日だった。厚い唇が首筋に触れる。
「お前さぁ、俺が遊んでたのも元カノも知ってっからたまに余計な想像してる時あるっしょ？」
『え？』
「なんとなくだけど、気にしてるなぁって思うことがあるのよ」
俺ら似た者同士だから、と辰哉くんは知ったように呟いた。
「でも心配すんな。俺Aにしかこういうことしない。Aしか優しくできないのよ。全然割り切れないし雑に扱おうと思わねえし」
付き合う前に知らなくていいことを知り尽くしてしまったがゆえの悩みがバレていた。
『……全く同じ言葉を返す』
私だって辰哉くんにしか触らせていない。毎度のように健康診断だ体調管理だ、と上手な言い回しで胸を触られても許せるのは辰哉くんだけだ。
付き合った年数も中身の濃さも既にあの人を超えているし、実際健康診断とやらは当たっている。
「お前さぁ……、寝れなくなるの分かってる？」
『寝せる気もないでしょ？』
「ない」
振り返ると辰哉くんは色白な肌をほんのり赤く染めていた。口周りが青く茂りつつあるのはご愛嬌だ。
「覚悟しとけ？」
『もちろん』
「もう今日は目覚ましかけない！」
『超やる気じゃん』
「お預け食らってんの！ 生理も近いうち始まりそうだし！」
『やばぁ』
ほら、とぶっきらほうに振り向かせた辰哉くんは唇を重ねた。
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2023年3月27日 21時
