Time goes by 2nd (ページ36)

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その後とこれからページ36

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入院中、私が寝たきりで動けなかったのを小西さんは知っている。しかもかつて怪我した周辺に当ててしまった。だから私に怪我をさせてしまったことは相当ショックだったらしい。

昨日の昼夜公演は集中できなかったようで、本番中にも関わらず小西さんらしからぬ失敗をしていた。

「本当に申し訳なかった……」

『大丈夫ですって。頭上げてください』

私は小西さんと目を合わせた。

『そんなに気にしないでください。確かにアザにはなりました。でも骨には影響がないってお医者さんの目で確認していただいてるので大丈夫です。気にしすぎないでください』

でも気にするな、と言っても多分相手は気にし続ける。

あの時、フライングのワイヤーを着けてくれたスタッフさんは泣いていたという。自らの操作ミスによって事故が起きてしまった。私に大怪我をさせてしまった。

そのショックから立ち直れず、スタッフさんは仕事そのものを辞めてしまった。縁があって出会えて、夢を持って演劇の世界に飛び込んだはずなのに……

私の知らない場所で大人達の話し合いがあったのかもしれない。でもそれは怪我をしたこと以上に悲しかった。

『絶対に治るんですから！ね？』

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公演後のロビー。夜公演が終わってお客さんがいなくなった劇場はしんと静まり返っていた。

『お疲れ』

楽屋口から出てきたAは衣装は脱いでスウェットに着替えていた。カツラも取っているけれど、メイクだけは施されたままだ。

「俺の言葉な？」

額と両瞼の下にある文様、はね上げアイラインが色っぽい。舞台用のメイクは濃く、普段からパッチリなまつ毛にはまつげエクステが施されている。おかげで目元がボリューミーだ。

今のAは山の民の女王と藤井Aの間にいる。2人揃って入場口横の椅子に座る。

「お前かっこよすぎ。双剣を完全に物にしてた」

『練習頑張ったから』

「時間も忘れてな？」

『そんなこともあったねえ』

ケラケラ笑っているその姿はやっぱりAだった。

メンバーやAとの思い出が詰まったこの劇場は数年後に解体され、新しく生まれ変わるという。俺達の青春の場所がなくなっていく。一抹の寂しさに浸らざるを得ない。

「……また、俺ら共演できるかな」

もう1度Aと芝居で共演する。それが俺の夢だ。後輩と芝居で戦闘する姿を見て改めて強くなった。