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「嘘……、Aちゃんの彼氏がふっかさんなの……？」
Aちゃんに彼氏がいる事実にショックを受けているのか、彼氏がいるのは許容範囲でもふっかなのがショックなのか。俺には分からないけれど、ラウの地雷を踏み抜いたのは理解できる。
推しというだけあって、呼び方もちゃん付けだ。
「あっ」
そしてタイミング悪く俺の携帯に電話がかかってきた。ふっかの濃すぎる青髭写真を見たAちゃんからだ。
「もしもし……」
『阿部ちゃん、写真見たよって。どうしたの、すんごい声沈んでるよ？』
「あの、ごめん！」
『え？』
俺は正直に話した。念の為にスピーカーONにして1つひとつかいつまむ。
『なるほどねぇ。いいよ。いつかは知ることだったし、ラウールくんに報告遅れたのはこっちが悪かったんだから。東京に戻ってきたら改めて挨拶させてくださいってお伝えしてて？』
「分かったぁ。本当ごめんね」
Aちゃんは許してくれた。ふっかも改めて紹介するから、とラウに微笑んでいる。
『あと辰哉くんに言ってて？ 青すぎて面白いって』
「おぉい！ 聞こえてるぞ！」
『あれ？ 今スピーカーだったの？』
ふっかが反応した瞬間、Aちゃんの声が弾んだ。
「バリバリスピーカーなんだわ！」
『辰哉くん、大谷さんのクリーム使ってないの？』
「使ってるけど髭は制御できない」
大谷さんのクリームとは、ふっかがAちゃんに黙って使っていたという紫パッケージのものだ。最近はWBCでMVPになった大谷選手が使っていると話題にもなっている。
どうやらふっかは普段Aちゃんのスキンケアコスメを勝手に使っているらしく、Aちゃんは隠れて使うことを上手く利用して、ふっかに合いそうなクリームを準備していたらしい。
ふっかは怒られると思ってAちゃんのと自分のものを買ったのに、全くもって怒っていなかったことでホッと安心していた。今では仲良く2人で使っているらしい。
「つーか着いたの？」
『着いたよ。今ラーメン食べてる』
「ずりぃよ……」
『小西さんと小西さんマネージャーと私のマネージャーで食べてるよ』
「どうもー」
ふっかではない男性の声が響く。これが噂のジャニーズ並みのイケメン元彼だ。
「やめて！ 今すぐ離れなさい！」
「離さなーい」
「あああ！ 俺福岡行っていいですか！？」
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2023年3月27日 21時
