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誰にとっても必要のない私を拾い、価値があることを教えてくれたのは晋助さんだった。それはどんなに感謝しても、感謝しきれないほどである。
どうしたら彼に返せるかは分からないから、ただ私は晋助さんの傍で、彼を見ているだけ。
おもむろに窓の外へ目を移した私は、視線を下げ、そこにある白い薔薇を見た。二階のここからだと、小さな薔薇は点のようにしか見えないが、確かに咲いている。
しかし、その薔薇の近くに鴉がやって来た。そして薔薇の方へ近寄り、クチバシでツン、と突き始めてしまう。
『だめ!』
そう叫んでも鴉には届かず……と言うよりも、人間の言葉を理解しているか怪しい。彼らは頭が良いと聞くが、どの程度なのだろうか。
いや、そんなことは今はどうでも良いのだ。問題は鴉が薔薇を突いていることである。
まだ晋助さんと一緒に見ていない。だからやめてくれと窓から手を伸ばすが、バランスを崩してつんのめってしまう。
目の前には地面。私の身体はズルリと傾き、畳に付いていた足が浮いた。
「落ちる」
そう思って固く目を瞑るも、痛みが襲ってこない。もう天国かと恐る恐る目を開けば、先ほどの景色がまだ残っているではないか。
『……なに、死にたがりなの?』
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月城碧 - ハルさんすごいです!私も高杉が大好きなのですがもうキュンキュンしまくりです!最初は愛なんてなかった…ていう所からの展開が凄すぎる!もう一気に高杉をもっと好きになるとともにハルさんのファンになりました! (2018年12月4日 17時) (レス) id: de7306413f (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 銀皐月さん» さっつんの言った通り早いですね! 本当に! 高杉への愛を詰めるだけ詰め込んでいる作品なので、終わりが早いと呆気なく思ってしまいます( ; ; ) 続編も頑張ります! 応援ありがとう! これからもよろしくね!( ´ ∀`) (2017年8月11日 9時) (レス) id: 3c0de761a5 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - エラさん» おはようございます! それはそれは、どうもありがとうございます!! 両方好きだなんてとっても嬉しいです( ´ ∀`) 続篇、本日出しますのでどうかお楽しみに!! 閲覧とコメントをありがとうございました! (2017年8月11日 9時) (レス) id: 3c0de761a5 (このIDを非表示/違反報告)
銀皐月(プロフ) - ハルー、恋は白い薔薇のようで完結おめでとう!
早いね、もう3弾いっちゃうよ。高杉好きだからこそ、泣くよね。愛がない結婚からの愛。泣くね。号泣だ。
黄色い薔薇も頑張ってね! (2017年8月10日 20時) (携帯から) (レス) id: 5de9376b0f (このIDを非表示/違反報告)
エラ(プロフ) - こんにちは!いつも楽しませてもらってます!サドリーマンも好きですが、薔薇シリーズも大好きです!「別れは、黄色い薔薇のように」も楽しみにしています♪頑張ってください♪ (2017年8月10日 14時) (レス) id: ad6183f351 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年7月23日 10時