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参捨 ページ43

蜜璃様は優しいから顔に出さないようにいつも笑顔でいてくれる

彼女は私にとって剣術の師範でもあるが
私の本当の友人でもある

父から与えられたお金持ちで身分などばかり考える友人ではない

心からの友人


そんな彼女の無理した笑顔が心苦しくて
見るたびに喉がつっかえそうになる

それでもこうして毎日のように来てくれる事は嬉しくて仕方がないのだ

もし私が男の人だったら好きになっていたんだろうな、と思う


まぁ、好きになっても死んでしまえば意味はないのだけれど


「それでね伊黒さんが__」

『流石、伊黒様ですね』


蜜璃様は今日キュンとしたこと、任務のこと
私が飽きないようにたくさんの話をしてくれる

それは昔、私が鬼殺隊に入る前の頃のように


__コンコン


ドアをノックする音の方を見れば胡蝶様が薬を持って来ていた

もうそんな時間なのかと外を窓から覗けば空は真っ暗で星も見えていた

名残惜しく思いつつも蜜璃様もこれから刀鍛冶の里へ行き刃こぼれしてしまった刀を新調するのだとか

引き止めることも出来ずに蜜璃様は「お土産待っててね」と私の頭を撫でて蝶屋敷を発ってしまった

これから寂しくなるな、と思いつつ胡蝶様の前でため息を吐けることもなく
彼女に処方された薬と一緒に一思いに飲み込んだ


「今日は長時間起きてたので疲れたでしょう?
お腹は空いてませんか?」

『…いえ、お腹はあまり… もう眠くて…』

「そうですか…まぁ無理は禁物ですからね
無理せず今日はお休みになった方がいいかもしれません」


そう言って私の体をゆっくり倒して掛け布団を肩までかけてくれた

そしてゆっくりぽんぽんとリズム打つように撫でてくれる姿は母を思い出した


『胡蝶さま…』

「どうかしましたか?」

『眠るのが…怖いんです』

「怖い?」


私はゆっくり目を瞑りそう言った

頭の半分以上が眠気に支配されて
我慢の割合がごく僅かだったのだろう

ポロリと愚痴のようなものをこぼした


『次、いつ起きれるのか、
そもそも次は起きれるのか…もうこのまま死んでしまいそうで…怖い』


最近の私はなかなか起きれなかった

寝坊というレベルではなく一日中、いっそ二日間寝ていたことがあった

起こしても起きない

二日、三日、もしかしたら死ぬまで私は目を覚まさないのでは

これが最後になるのでは

そんな不安が頭の隅に膨張していた


「大丈夫です 今はゆっくり休んでください」


胡蝶様のその声を最後に私は意識が沈んだ

参捨壱→←丗玖



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美穂(プロフ) - 突然終わってしまって寂しいです (2022年4月25日 20時) (レス) @page44 id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
いちごぱふぇ - あああーーあああーーあああーー......好きです (2020年7月18日 2時) (レス) id: e2dd6d7f46 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - この作品はとても面白く一気に読ませていただきました!作者様の次の更新とても楽しみにしております! 頑張って下さい!応援しています (2020年3月10日 18時) (レス) id: 663d9c3cae (このIDを非表示/違反報告)
さきいか(プロフ) - 読みやすいです! (2020年1月21日 7時) (レス) id: 4e87d4f1f5 (このIDを非表示/違反報告)
白米 - 好きです (2019年10月16日 0時) (レス) id: f989566248 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:智菜 | 作成日時:2019年9月16日 21時

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