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丗玖 ページ42

一つあくびをして窓の向こうを見ると
随分赤々とした空が広がっていた

血のように赤く、嫌な色だった

そんな空を見ていた私の視線を追って無一郎も空の色を見た


「夕方…任務があるから僕はもう行くね」

『…うん 今日は来てくれてありがとう』


だから嫌いな色なんだ

赤は私から人を奪っていく色だから

でも時間はどうしても過ぎていくもの

それに特に嫌なのだ


私の寿命はもう1ヶ月とない

無一郎に逢うことはもうないだろう

だから、だからこそ


『無一郎』


部屋を出ようとしている無一郎を呼び止める

長く綺麗な髪を翻し、こちらに振り返る


『ありがとう』

「さっき聞いたよ」

『うんん 言ってないよ だから言わせて





___本当にありがとね』


今日、ここに来てくれた事にも

私の為に髪飾りを買ってくれた事も

私と仲良くしてくれた事も

私を助けてくれた事も

私に恋を教えてくれた事も


私と貴方の全てに
私はその一言にまとめた


『それだけ バイバイ』


崩れるかと思われた笑顔も
なんだかとても晴れ晴れとしたものとなる

手を振る

ぎこちない、なんて事はない

いつも通り、いつも通り


無一郎はじっと私の顔を見た

疑り深く、まじまじと見る


『無一郎…? 任務があるんでしょう?』

「………」


どうしたの?、と首を傾げる

無虚を映した瞳

何を考えているんだろう?


「泣いてないなら…それでいい
じゃあね」

『?…うん』


無一郎の前で泣いたりなんかしないのに

彼の背中に手を振りそう思う


無一郎がドアを開けて出ようとすると
彼は目線を逸らす

否、逸らしたのではなく何かに目を向けた


『……』


無一郎が帰ってから
私は戸の方に声を掛ける


『蜜璃様 どうぞお入り下さい』

「…Aちゃん」


戸の向こうからひょっこりと蜜璃様が顔を出す

彼女の顔は何処か深く暗かった

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美穂(プロフ) - 突然終わってしまって寂しいです (2022年4月25日 20時) (レス) @page44 id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
いちごぱふぇ - あああーーあああーーあああーー......好きです (2020年7月18日 2時) (レス) id: e2dd6d7f46 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - この作品はとても面白く一気に読ませていただきました!作者様の次の更新とても楽しみにしております! 頑張って下さい!応援しています (2020年3月10日 18時) (レス) id: 663d9c3cae (このIDを非表示/違反報告)
さきいか(プロフ) - 読みやすいです! (2020年1月21日 7時) (レス) id: 4e87d4f1f5 (このIDを非表示/違反報告)
白米 - 好きです (2019年10月16日 0時) (レス) id: f989566248 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:智菜 | 作成日時:2019年9月16日 21時

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