【鬼滅の刃】恋に溺れた人魚姫【時透無一郎】

丗陸 ページ39

久しぶりにAちゃんの楽しそうな笑顔が見れた

久々に見たAちゃんの笑顔に胸打たれる

私の前では申し訳なさそうに笑うことが多かったから

やっぱり恋ってすごいな

恋は女の子にいっぱい力を与えてくれる

私も早くそんな殿方と…


そしていつかAちゃんに結婚の報告をするの

一番最初に

だって彼女が私の最初で最後の継子だから




Aちゃんと初めて出会ったのは任務先

鬼が住み着いている町があると聞いてやってきた

藤の家紋の家ではなかったけど
鬼退治をしてくれるならと２週間程泊めてくださった

その町の町長を務めていた方の娘さん

それがAちゃん


泊めてくれる代わりに娘の話し相手になってやってくれないか、と言われたのが始まり

町長さんに案内されて会いに行った彼女は

随分痩せ細っていて、目の下にクマを作って今にも倒れてしまいそうな程だった

だけどいつも笑顔絶やさない優しい子だった

仲良くなるのにそう時間は要らなかった

Aちゃんは鬼殺隊で起こった出来事など、
彼女の中での非日常的な話を聞くのを好んでいた

そしていつも


『私もそんな力があったらいいのにな』


と悲しそうに言った


そんな彼女はとある富豪の息子さんとの結婚が決まっていた

昔からの許嫁だと


『蜜璃様もぜひ挙式に御出席ください』


そう言う彼女はちっとも幸せじゃなさそうだった

結婚ってもっと幸せが詰まったものじゃないの？

好きな人と夫婦になって普通の日常をキラキラした魔法にかけて

幸せそうじゃない理由を尋ねても
彼女は静かに首を振ってまた辛そうに笑った




彼女の結婚式前日に、報告にあった鬼を退治した

町長さんは挙式前に鬼が居なくなって本当に助かったと、泣いて喜んでくれた

幸い次の任務もないようなので私はAちゃんの挙式を参加してから帰ることが決まった

Aちゃんにも報告すると『そうですか、嬉しいです』と力なく笑った

最後の夜だからだったのだろうか

私はその笑顔を崩すように頬を摘んでやった

そんな事をしたのは初めてで、
されたAちゃんも驚いていたし、私も驚いた

だけど、それよりも私は怒っていた


「どうしてそんな辛そうに笑うの！？
その笑顔はAちゃん自身を殺してる！
その笑顔は全くキュンとしないわ！！」

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