廿肆 ページ27
無一郎に肩を押されるように玄関へと誘導され
玄関を出た後は手を引かれる
耳まで轟く心臓の音がうるさくて
彼に触れられている、繋いでいる手が熱くて仕方ない
彼は私の手を引いて私の数歩先を歩く
彼が通る後ろについて歩いているので人にぶつかる事なくスラスラと歩いていける
だけど私は息切れを起こしてしまう
彼は歩いている
いつもと変わらぬ歩幅の大きいその足で
それについて歩くのは苦ではなかった
はずなのに
『…はぁ…はぁ…っ…』
今はこの有様
今日は調子良いんだけどな
そうは思っても身体はそう変わらない
最近は刀を振るう力さえなくなってきている
鬼殺隊生命もすぐ目の前な事がわかる
まぁ あの日からそう長くはないとはわかっていたが
そう言えば、無一郎は何処に向かっているのか
目的地も告げず街を歩いていた
任務、と言うわけでもなさそう
覗きたくとも覗けない彼の顔を少しでも見てみたくて
私は彼の後頭部へと視線を送る
すると無一郎が少し振り向き横目でこちらを見た
あ、目があったかなって思えば彼は驚くように目を見開いた
たったこれだけで息を切らしている姿に驚いたのかな
笑顔は保つように気をつけてはいるが
流石にそれだけでは呼吸の乱れは整わない
せめていつもより笑顔でいよう
そう思って深める笑窪
だけどそれも一瞬
無一郎の「無理して笑わなくていいよ」と冷たく言われた言葉に形崩れしてしまう
私たちの止まった足
ちゃんと振り返り、対面するようにお互いを見つめ合う
見ないで欲しい 私の崩れてしまった笑顔を
数秒あれば戻るから
だけど見られてしまったのだから
どうこうできない事実に困り果てる
と無一郎は自らの頭を抱えため息を吐いた
『無一郎？』
私より困り果てた様子
どうすれば良いのかと片手を宙に彷徨わせていると
無一郎がやや上目遣いでこちらを見た
ズギュンと心の臓に矢が突き刺さる
思わず口をムッと閉じて、悶えたい衝動を堪える
すると無一郎から意外な言葉が発せられた
「ごめん 苛ついてて
よくわからないけどAには笑ってて欲しい
でも辛い時は言って 無理しないで」
握られている手の力が強くなる
これを言葉で表現するなら“愛おしい”が一番正しい
ドキドキやキュンどころでない
心臓を締め付けられるようで、でも温かくて
『…ぅん』
身体全身が彼を好きだと物語る
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美穂(プロフ) - 突然終わってしまって寂しいです (2022年4月25日 20時) (
レス) @page44 id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
いちごぱふぇ - あああーーあああーーあああーー......好きです (2020年7月18日 2時) (レス) id: e2dd6d7f46 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - この作品はとても面白く一気に読ませていただきました！作者様の次の更新とても楽しみにしております！ 頑張って下さい！応援しています (2020年3月10日 18時) (レス) id: 663d9c3cae (このIDを非表示/違反報告)
さきいか(プロフ) - 読みやすいです！ (2020年1月21日 7時) (レス) id: 4e87d4f1f5 (このIDを非表示/違反報告)
白米 - 好きです (2019年10月16日 0時) (レス) id: f989566248 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：智菜 | 作成日時：2019年9月16日 21時
