廿壱 ページ24
任務の帰り道
軽く陽はとっくに天に昇っていた
晴天
青く開けた空の中僕の頭は何処か霞みがかっていた
その正体が何なのか
記憶の霧のような霞とはまた違う
心というやつの霞
それが緩和されたように思えたのは
女の子が好きそうな小物屋の前での事
店頭に並ぶ一つの髪飾りを見た時だった
白 基調の飾紐
大きく蝶のように広がる羽根の周りフリフリとした可愛らしいレースがあしらわれたもの
真ん中にはあの日見たような花が惜しげもなく飾られていた
可愛さを全面的に押し出すようなデザインのそれは
今の時代にはハイカラ過ぎて引けてしまうところだが
Aはきっと似合うだろうな
一番にそう思った
そこでなぜ彼女が出てくるのが
きっとそれは前 彼女と花畑に行ったからだろう
そうしてしばらくその店前でそれを眺めていた
すると後ろから聞き覚えのある声で僕の名前を呼ばれた
「あら 無一郎くん」
見れば恋柱がニコニコとしてこちらに手を振っていた
パタパタと走って来る姿はAどこか似ている
師妹だもんな
「こんにちは 任務の帰りかしら？
この後 時間空いてる？」
「え、まぁ」
会って突然この後の予定を聞かれた
予想外のことに少し戸惑いながらも正直に答えた
すると彼女は表情を明るくして僕の手を掴んで前のめりに話す
「あのね、お願いしたいことがあって
Aちゃんを連れ出してくれないかしら！
最近任務以外はひきこもりがちで
私が誘っても 体力がないからとか足が遅くなったって振られ続けているの」
師範である彼女が振られ続けているのに
何故僕に連れ出せと言うのか
彼女が無理なら 俺が誘っても変わらぬ反応だろう
「どうして僕なの？」
「だって無一郎くんはAちゃんの想い人だもの
好いた人に誘われたら何が何でも行きたくなるものだと私は思っているわ」
想い人…
その言葉に反応してしまった
彼女の想い人が僕なのだとわかってはいたが
また 他人から言われるのは何処かむず痒くなる
「まぁ…いいけど」
先程まで見ていた飾紐を横目にそう答えた
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美穂(プロフ) - 突然終わってしまって寂しいです (2022年4月25日 20時) (
レス) @page44 id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
いちごぱふぇ - あああーーあああーーあああーー......好きです (2020年7月18日 2時) (レス) id: e2dd6d7f46 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - この作品はとても面白く一気に読ませていただきました！作者様の次の更新とても楽しみにしております！ 頑張って下さい！応援しています (2020年3月10日 18時) (レス) id: 663d9c3cae (このIDを非表示/違反報告)
さきいか(プロフ) - 読みやすいです！ (2020年1月21日 7時) (レス) id: 4e87d4f1f5 (このIDを非表示/違反報告)
白米 - 好きです (2019年10月16日 0時) (レス) id: f989566248 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：智菜 | 作成日時：2019年9月16日 21時
