捨玖 ページ22
辛い匂い…
辛い匂いって何だろう？
自分で気づいていないって炭治郎は言っていた
私は私自身を理解していないのだろうか
そんなはずはない
だって何より自分の事だから
私の事を私がわからなくてどうするって思う
「＿た、おい 泡沫！」
『！ は、はいっ』
考え事に耽っていれば名を呼ばれた
その事によって狭まっていた視界が開き
目の前に大量の料理と蛇柱の伊黒様がいた
あ、そうだった
蜜璃様が伊黒様にお食事のお誘いを受けて
何故だか私も同伴する事になったのだった
本当はお二方だけの方が良いのだろうけど…
「食事が来たというのにいつまで考え事をしているつもりだ
甘露寺を見習え 冷める前に食べきっている
俺が奢るのだから無駄をせず食べろ
俺は無駄が嫌いだ 大嫌いだ」
『そうですね！ 食べ物は美味しいうちに食べなくてはですね』
なんやかんやで遠慮はしているものの
二人の食事会には私も毎度 同伴していた
私は両手を合わせて『いただきます』と声に出す
そう言うと隣で6杯目のどんぶりを食べている蜜璃様がここのお店は絶品だと評価する
なので私も期待しながら箸で目の前の食事を掴む
『んっ 美味しいっ
特にタレが甘すぎなくて丁度いいです！』
何にこだわったお店なのだと
一口食べればわかるだろう
こんな美味しいものが作れるなんて素敵
「…分かればいい」
最近は以前よりも食に対しての関心が増した
食事を摂らなくてもよくなったから食に関しても無頓着になると思っていたが
実際はその逆だった
摂らなくてもいい食事をわざわざ摂るのなら美味しいものが食べたい 最期に
そう思うから
「Aちゃん！ これ美味しいわよっ あーん」
名前を呼ばれ蜜璃様の方を振り向けば
目の前には差し出されたカツ
蜜璃様の器を見ればカツ丼のカツが一つ無くなっていた
目の前にあるのがそれだろう
箸でつままれたそれに目掛けて私は
少々はしたないが口を大きく開ける
『あー…ん これも美味しいですね！
では 私の分も 蜜璃様 あーんです』
そう言って私の分の丼に入っていたお肉を掴んで
蜜璃様の方へ差し出す
その間伊黒様はそれを微笑ましそうに見ていた
伊黒様は蜜璃様の笑顔が好きなお方だから
きっと何があっても彼女の笑顔を守ってくれるのだろう
『………蜜璃様 伊黒様も食べたいご様子ですよ』
「な！？」
「あらっ そうだったのね伊黒さん
なら伊黒さんもあーん」
きっとこの幸せな時間は続く
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美穂(プロフ) - 突然終わってしまって寂しいです (2022年4月25日 20時) (
レス) @page44 id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
いちごぱふぇ - あああーーあああーーあああーー......好きです (2020年7月18日 2時) (レス) id: e2dd6d7f46 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - この作品はとても面白く一気に読ませていただきました！作者様の次の更新とても楽しみにしております！ 頑張って下さい！応援しています (2020年3月10日 18時) (レス) id: 663d9c3cae (このIDを非表示/違反報告)
さきいか(プロフ) - 読みやすいです！ (2020年1月21日 7時) (レス) id: 4e87d4f1f5 (このIDを非表示/違反報告)
白米 - 好きです (2019年10月16日 0時) (レス) id: f989566248 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：智菜 | 作成日時：2019年9月16日 21時
