【鬼滅の刃】恋に溺れた人魚姫【時透無一郎】

捨陸 ページ19

『私 継子を辞退させてもらおうと思います』


こんな話 優しい蜜璃様から切り出させようだなんて酷な話だった

出来るだけ笑顔で後腐れもなく
私は彼女の前から消え去らねばならない

そう思って言ったのに


「え？！ どうして！？」


蜜璃様は予想外のことでも聞いたように驚く

その反応に私も困惑した


どうしてと聞かれても

継子は本来柱の跡を継ぐ為に柱が育てるのだ

もう跡も継げない私は継子には相応しくない

私の面倒を見るのは彼女にとって無駄になる

だから…言ったのに…


「私…何かしちゃった？
何か気に触るような事しちゃったなら教えて！
私これからもAちゃんといたいよ…」

『いえっ そういう訳ではなくて』


私の手を握る蜜璃様

自然と視線は真っ向からぶつかり
必死な瞳からは目が逸らせなかった


『っ…そ、ゆ訳では…なくて』


悲観的な蜜璃様の発言を否定しようと声を出す

だけどその声は喉につっかえる様で
上手く声が出ない

目が熱くなり涙が溢れてしまいそうだった


『私…もう死んじゃうから…
蜜璃様に面倒みてもらうの…申し訳なくて…
貴女のっ…負担にぃっ、なりたくない』


出た言葉は裏腹で
本当はとても嬉しかった

こんな私とまだ一緒にいてくれたいと言ってくれたのが


「まだ死ぬかなんてわからない
しのぶちゃんもこれから頑張ってくれるって言ったから
だから もうそんな淋しいこと言わないで…」


私より先に泣いてしまう蜜璃様

昔 誰かに言われた

「どっちが年上かわかりゃしねーな」

あの時もズビズビと鼻をすすりながら泣いている蜜璃様を私が慰めていた


そんなの言われなくても


『ありがとう、ございます』


こんなに想ってくれるのは

こんなに大切にしてくれるのは

こうして優しく抱きとめてくれるのは


私の綺麗なお姉さん


『蜜璃様…』

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