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捨弐 ページ15

何を考えてそこにいるのかわからない彼に
私はポツリ、ポツリと言葉を落とす


『疲れているはずなのに…眠れなくて
あんな大怪我して興奮してるのかな…
今までどうやって眠ってたのかわからなくなって』


夜だから油断していて
暗いから見えないだろうと笑顔を崩す

彼の前では笑顔であろうとしてきたけど
今は少しの間だけ…休憩して


「………ちょっと待ってて」

『…え、』


そう言って立ち上がった無一郎は私と上着を置いて
何処かに行ってしまった

待ってて、と言われたからここで大人しく待つが
いなくなった隣に寂しさを感じる

どこ行ったのかな?、何をしに行ったのか?

彼が隣にいない間
ずっと彼のことを考えてる

そうすれば少しは温かくなる気がして


「A」

『!? はっはい!』


無一郎のことを考えていると背後から声がかかる

思わずビックリして大きな声で返事をしてしまったが今が夜中である事に気づき
自分の両手で口を塞ぐ


「…部屋戻るよ」

『ぁ…はい』


強制的に部屋に帰るよう促される

まだ 眠くないのだけどな…

そんなことを思いながら私も立ち上がる


立ち上がった様子を見ると無一郎は私の病室まで送ってくれるのかスタスタとそっちの方へ歩いていく

そして私もその後ろをついて行くように歩く


この上着いつ返そうかな

私には大きくてブカブカな私の肩にかかった上着

温かくて手放したくないなぁ…なんて

もう暫くの間借りていたい


そんなことを思っている間に私の病室前へと着く

早いな…

きっとこのまま病室に戻ったら長くてノロマな夜にまた一人で浸ることになるのだろう

そう思うと戸の取っ手にかけた手が止まってしまう


せめて この上着を借りればこの夜も凌げる

迷惑かもしれないが一晩この上着を借りよう


そう思い私は無一郎の方に振り返る


『ねぇ この上着…』

「いつまで廊下に立たせるつもり?
早く中に入らせてよ」

『え?』

「なに?」

『…うんん、どうぞ』


止まっていた手がすんなりと動く

戸を開けて促すと無一郎は室内に入ってベッドの横にあった椅子に座る

私は暗い部屋に照明をつけると、無一郎に向かい合うようにベッドに座った

そこで無一郎の手元にあるものに気づいた


『折り紙…』

「眠れないんでしょ 暇つぶしに付き合ってあげる」


その為にわざわざ折り紙を取りに行ってくれたのか


『ありがとうっ』


嬉しくて自然と笑えた

今 私の胸はドキドキと高鳴っている

好きだと胸が言う

捨参→←捨壱



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美穂(プロフ) - 突然終わってしまって寂しいです (2022年4月25日 20時) (レス) @page44 id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
いちごぱふぇ - あああーーあああーーあああーー......好きです (2020年7月18日 2時) (レス) id: e2dd6d7f46 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - この作品はとても面白く一気に読ませていただきました!作者様の次の更新とても楽しみにしております! 頑張って下さい!応援しています (2020年3月10日 18時) (レス) id: 663d9c3cae (このIDを非表示/違反報告)
さきいか(プロフ) - 読みやすいです! (2020年1月21日 7時) (レス) id: 4e87d4f1f5 (このIDを非表示/違反報告)
白米 - 好きです (2019年10月16日 0時) (レス) id: f989566248 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:智菜 | 作成日時:2019年9月16日 21時

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