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捨壱 ページ14

完全に傷が塞がり 着替えた後いくつかの検査をした

その後、私が怪我をした際立ち会っていた無一郎にも私の状態の説明を胡蝶様はしてくださった

ぼー、とした様子でそれを聞いていた無一郎

たまに疑問に思った事を尋ねていたがそこまで興味がある様子でもなかった


説明と一通りの事が終わったら胡蝶様は私を病室に案内して、
今は様子見だからここで寝てくださいと言う

無一郎には違う部屋を用意したようで
病室に一人、私は布団をかけて床につく

が目が冴えて仕方がない

全くもって眠くない

怪我もしたし疲れが襲ってくるだろうと頭で思っても全くそれがないのだ

頭が追いついても、体が追いつかないとはこの事


なんだかそれが怖くなった

眠気が来ないのは私の体がおかしくなったからなのか

それとも単純に眠気が来ないだけなのか

後者ならいいが、前者なら…


私は首を横に振って考えを振り払うように被っていた布団から出て立ち上がる

だけどこれからどうする訳でもなく
取り敢えず夜風に当たりたく思い、病室から出た


多分みんなが寝静まった夜

私は縁側に膝を立てて座って夜空を見上げる

今日はやけに夜空がうるさく輝く

降り注ぐ月光もなんだか冷たい

なんだか世界に弾かれたような気分

それも情緒的で素敵


冷たい光に晒される


冷たい風が肌を撫でてて 寒気を感じ、鳥肌が立つ

流石に上着も着ずに出てきたのは不味かっただろうか

寒いな、とポツリ呟き、腕を摩ると
ふわりと私の肩に何かがかかる

それを理解するのに時間は取らず
匂いで掛けてくれた相手も分かった


『ありがと…無一郎』

「今はまだどういう状態なのかわからないだから不用意に出歩くのは良くないんじゃない?」

『…そうだね』


頷いておきながら私はその場から動こうとしなかった

彼のかけてくれた上着をギュと握り
仰いでいた目線を地面へと落とす

それを観かねた彼は私の隣へと座る


「………」

『………』


沈黙の中 私たちは言葉を探すことはしなかった

ただお互いが隣にいる事を確認するためにたまにお互いを見て
無一郎は空を、私は地面を見ていた

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美穂(プロフ) - 突然終わってしまって寂しいです (2022年4月25日 20時) (レス) @page44 id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
いちごぱふぇ - あああーーあああーーあああーー......好きです (2020年7月18日 2時) (レス) id: e2dd6d7f46 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - この作品はとても面白く一気に読ませていただきました!作者様の次の更新とても楽しみにしております! 頑張って下さい!応援しています (2020年3月10日 18時) (レス) id: 663d9c3cae (このIDを非表示/違反報告)
さきいか(プロフ) - 読みやすいです! (2020年1月21日 7時) (レス) id: 4e87d4f1f5 (このIDを非表示/違反報告)
白米 - 好きです (2019年10月16日 0時) (レス) id: f989566248 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:智菜 | 作成日時:2019年9月16日 21時

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