【鬼滅の刃】恋に溺れた人魚姫【時透無一郎】

玖 ページ11

Aちゃんは髪が短くなっていた

戦いの最中 自ら髪を断ったのだと

長い髪に未練がないのか彼女は笑って言った


長い髪は乙女の印なんて何処かで聞いたが
短い髪でも似合う彼女がいるのだから強ち嘘だと思う

Aちゃんは可愛いからなんでも似合うわ

それに生きている限り髪は伸びるだろうから


Aちゃんは部屋で無一郎くんを待たせてるから、
と病室に入っていく

思ったより元気そうで、何より無一郎くん優先なところがAちゃんらしくて思わず私も笑ってしまう


だけどしのぶちゃんは暗い表情のまま

なんで？ と思うけれど
Aちゃんの状態についての説明をしてくれる
ということで 私はしのぶちゃんの後をついて行く


一室の部屋

ここはしのぶちゃんが患者さんを診察する部屋

私も何度かお世話になったことのある部屋だ

その部屋には椅子が二つ置かれていて
奥の椅子はしのぶちゃんが 手前の椅子は私が座る

しのぶちゃんは資料に目を落とす

憂いているような表情も素敵


「単刀直入に言いますと








・









・









Aさんは近々死にます」

「え？」


一瞬言葉のが理解出来なかった

何を言っているのかわからなかった


数秒するとその言葉を理解して

言葉の意味することがわからなかった

やはり何を言っているのかわからない


死ぬって Aちゃんが？

何で？ あんなに元気じゃない

今は休養が必要かもしれないけど
すぐに任務だって行けるようになるのよね？


ほら 何も問題はないわよ


「血鬼術にかかってしまったらしく
その鬼が言うには次の誕生日に生命が尽きると

私にも治し方がわかりません
お力になれずに、申し訳ないです」


悔しそうに自らの手を握るしのぶちゃん

そんな…そんな苦痛に歪んだ顔をされたら


「ほ、本当…なの…？」

「っ…はい…」


信じるしかないじゃない


嘘だと言って欲しかった

今なら嘘を吐かれてたってわかっても許すから

誰か嘘だと言ってよ


そんな私の心の声も虚しく、この部屋には静かな沈黙が降り注ぐのだ

捨→←捌

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