優等生の葛藤 ページ30
降 「…」
眉をひそめて、切なそうな苦い顔を浮かべていた降谷だが、
しかし、ふと何かに気づいた様に、
ベンチを立ち上がった。
『…え？』
後ろから手を掴まれ、
振り向くA。
その息は浅く、
やはり頬が赤く染まっているように見える。
『…え…』
降 「…やっぱり、熱、あるだろ。」
急に額 (ひたい)に当てられた降谷の手。
ひんやりとしたその手を、パシリ、と外すA。
降 「身体、辛いんじゃないのか？
だから急に眠って――」
『平気よ。』
降 「いや、でも…」
『体調管理は基本でしょ。
卒業前の大事な時期にって、思ってるんでしょ。
…平気だから。放っておいて。』
先ほどされたことへの不快感からか。
ただの負けず嫌いなのか。
強がる様な言葉を漏らしながらも、瞼はやはり重そうだ。
そして、繰り返される浅い呼吸。
そのリズムは速くなっているように見える。
『それじゃ』
そう言って、降谷の心配をよそに、
体調を崩してしまった自身を悔しがる様に足早に去っていくAを、
降谷は追いかけることが出来なかった。
降 「…何、やってるんだ。俺は」
苛立った上の行動。
降谷にとって、理解出来ない自分の行動。
論理的な思考を元にしたそれとはかけ離れた、
先ほどの、自らの行動。
ぼんやりして何も分かっていないようなAに、
分からせようと、苛立った様に、衝動的に身体が動いた。
本気で何かをするつもりなど、
――なかった。
なかった、はずだ。
そもそも、何故分からせようとしたのか。
もはや、論理的な思考は、皆無だ。
降 「…何なんだ…」
“いちいち難しく考えすぎなんだよ”
いつぞや、景光や伊達に言われた言葉だ。
自身が責めたAの行動は、
熱のせいもあったことを知り、複雑な表情を浮かべる降谷。
以前、松田の横で同じ様に寝てしまったり、
食堂でいきなり寝たり、と、
Aに警戒心が無いことは事実なのだが。
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white12(プロフ) - 深海さん» お読み頂きありがとうございます！続編は、ただいま内容確認中でして、もうすぐパスワード外せると思います。少々お待ちくださいませ！ (2019年8月28日 22時) (
レス) id: 1425135a30 (このIDを非表示/違反報告)
深海(プロフ) - 続編がパスワードかかっているんですけど、まだ非公開ですか？続き楽しみにしてます！！ (2019年8月28日 22時) (レス) id: e9c616e2c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：white12
| 作成日時：2019年8月27日 9時
