October ページ15
そして、翌月。
10月に入り、ずいぶんと涼しくなった頃。
休日を迎えたAは、米花町に来ていた。
とあるお店を訪ねた帰りだ。
Lemon tree
数ヶ月前にOPENしたパティスリー。
以前、萩原から貰ったシュークリームのお店、だ。
話には聞いたことがあったものの、
実際に訪れるのは初めてだった。
萩原に貰ったシュークリームがとても美味しかった為、
自分で買いに来たのだ。
休日といっても、色々と課題や、やりたい作業をこなしているAは、
ようやくこうして足を運んで来れたという訳である。
嬉しそうに紙袋を持って、
寮への帰路につくA。
『…あ』
降 「…春宮？」
そこでバッタリ出くわしたのは、降谷だった。
『買い物？』
降 「ちょっと、な。
実務のとき、近くの交番で働かせて貰ったんだ。
その話もあって、な。」
『へぇ。』
“それじゃ”とその場を去ろうとしたのだが、
降谷の言葉に足を止めるA。
降 「前に萩原が持ってた店の袋だな。
シュークリーム、か？」
『…良く、覚えてるのね』
降 「記憶力は、基本的なスキルだろ」
ここに伊達か景光がいれば、
“何でそういちいち堅苦しいんだ…”と、苦笑されていたことだろう。
降 「よっぽど好きなんだな。シュークリーム。」
『…悪い？』
上目遣い、とは言えない、
ジロリと下から見据えるようなAの視線に、
柔らかい笑みを浮かべる降谷。
毒気を抜かれたように、
Aも、つられて小さく笑った。
降 「そういえば、術科大会、春宮は柔道大会か？」
警察学校では、10日後に術科大会が控えていた。
柔道や、剣道、合気道といったそれぞれの武道の腕を競い合う大会だ。
『合気道か、柔道にエントリーするつもりだけど…』
降 「そうか。春宮なら、良い線行くだろうな」
『え』
降 「男女、別々だからな？」
『…』
“良い線行くだろう”と自身を褒めるような降谷のセリフの意図が読めず、
そして、ニヤリと笑った降谷に、
怪訝な顔を向けるA。
先日。
またも降谷に敵わなかった体術。
男女混合なら、良い線は行かないだろうことを痛感させられる。
降 「じゃあな」
すっとその場を去っていく降谷を、
不満そうな顔で見つめていたが、
ふと、紙袋に視線を向け、
再び嬉しそうに寮へ戻っていった Aだった。
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white12(プロフ) - 深海さん» お読み頂きありがとうございます！続編は、ただいま内容確認中でして、もうすぐパスワード外せると思います。少々お待ちくださいませ！ (2019年8月28日 22時) (
レス) id: 1425135a30 (このIDを非表示/違反報告)
深海(プロフ) - 続編がパスワードかかっているんですけど、まだ非公開ですか？続き楽しみにしてます！！ (2019年8月28日 22時) (レス) id: e9c616e2c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：white12
| 作成日時：2019年8月27日 9時
