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どうしようもないこと ページ1

咲 「はぁ…疲れたぁ…」

『それじゃ』

塔 「うん、お疲れ。またね」


午後の射撃訓練を終え、
図書室に向かう A。

借りていた本の返却と、
今日の講義で習った内容についての資料探しだ。



『えーっと…』

本棚を物色するAは、
目当ての本を見つけ、見上げるようにその背表紙を眺めている。
その手には、すでに数冊の本が抱えられていた。

本棚の1番上に置かれているそれは、
すぐに手が届きそうに無い。

きょろ、と周囲を見渡し、
踏み台を探すも、近くには無いようだ。


『んー…』

仕方ない…と、
とりあえず背伸びをして、思い切り手を伸ばすが、
人差し指と中指が空を切るだけで、
本をつかむことは出来ない。


「これか?」

ふと頭上から聞こえたのは、
聞き覚えのある声。


くいっと真上に顔を上げると、
そこには降谷の顔があった。

背後に立ち、
Aが手を伸ばしていた先の本に、軽々と手をかけている。

Aの腕と自身の腕とくっつけるかのような、
後ろから抱きしめるかのような体勢で。





『…ありがと』

Aは、降谷から目当ての本を受け取ると、
小さくお礼を述べ、ため息をついた。

「あ、隣の本だったか?」

『ううん。ありがと、助かった』


どこか不満そうな声に、
降谷が問いかけるも、
Aはお礼を述べると、目を伏せるようにして視線を逸らしている。

『…やっぱりちょっと悔しいわね』

「…は?」

『体格は、自分じゃどうしようもないから』

「あ…」


身長のことか。
自身じゃ届かないものを、
すっと手にできる降谷に、小さな嫉妬心を漏らすA。

密着されたことを気にするAではないし、
それは降谷も然りだ。

これが、他の男女なら、
恥じらいもするのだろうが。


『…でも、近いうちに1本取ってみせるから。』

花火大会で言っていたセリフを、
再び口にするAは、“ありがと”、ともう一度述べると、
図書館の奥へ歩いていった。


「…簡単に取られると思うなよ」

そして、降谷も小さな闘争心を抱きつつも、
どこか楽しそうに口角を上げたのだった。

September→



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設定タグ:名探偵コナン , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - 深海さん» お読み頂きありがとうございます!続編は、ただいま内容確認中でして、もうすぐパスワード外せると思います。少々お待ちくださいませ! (2019年8月28日 22時) (レス) id: 1425135a30 (このIDを非表示/違反報告)
深海(プロフ) - 続編がパスワードかかっているんですけど、まだ非公開ですか?続き楽しみにしてます!! (2019年8月28日 22時) (レス) id: e9c616e2c7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2019年8月27日 9時

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