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乾いた音_4 ページ4

「警察学校の生徒からすれば、今回報じられたことは、…由々しき問題であることは分かっているかと思います」

「…」

「警察という組織に不信感を抱き、…事情を聞きに来ただけでなく、
退職を申し出た生徒も少なからずいます」


静かな声で話を続ける永倉を、一斉に見つめる降谷たち。


「明らかにすべきことがまだ残っているのかもしれませんが...、
…大切な人たちを殺されただけでなく、警察によって、…警察上層部とやらの人間によって、
大きく傷つけられた姉弟がいる。
もちろん、まだ、…疑いの段階かもしれない。
でも、事件のことを真剣に考え、警察組織に媚びることなく、今回の出来事に強い怒りを覚えた。
警察官を目指すものとして、それは、当然のことではないかと、…私は思いますけどね」


永倉は、不快そうに口を閉ざしている松田をちらりと見つめ、
そう、口にした。



「…鬼塚教官も、そう思いませんか」

「え?あ、…そ、それは…、確かにそうかもしれませんが…」


思うところはあるものの、
だからといって、警視庁に乗り込んで騒ぎを起こして良い理由になるはずもなく、教官としては1年ほど先輩の永倉相手に言い淀んだ鬼塚。

鬼塚は、永倉と目暮の関係を良く知っていた訳ではなかった。






そして目暮は、
永倉の言葉も、
おそらく松田が抱いているだろう感情も、分かっていた。
優也が襲われかけた時に事情聴取で見た彼の様子から、
Aのことをどれほど心配し、
それゆえ、警察や進展しない捜査状況に苛立っていることが良く伝わってきていたからだ。
もちろん、それは、松田だけでなく、現場にいた降谷や景光たちの様子も同じだった。


「昔ここにいた人間として、…思うところもありますが、
できる限り早い解決を、…願います」

「分かっています。…全力で進めています」


警察組織という特殊な集団のことを言っているのか。
すぐに明らかにできる問題ではないのは理解できる、と目暮に言っているつもりなのか。
意味深にも思える永倉の言葉に、目暮は厳しい声で答えた。
その視線は、松田や萩原のさらに後ろ、
廊下の隅にある捜査一課の取調室の方に注がれていた。





これから取り調べを行う予定の、


──斉木警視長を睨むかのように。

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作者名:white12 | 作成日時:2023年2月7日 18時

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