SOSのサイン_9 ページ45
「お前がそうしてぇのは当然だろうが…、
アイツが…ずっと耐えてきたもんを、弟のお前がぐちゃぐちゃにぶっ壊して...、どうすんだ…!」
怒りを交えた松田の言葉に、優也は目を見開き、そして苦しげに表情を大きく歪めた。
「...殺してやりてぇってのは...死ぬほど分かる。けどな、そうしてぇのは、アイツだって…同じだろうが。
大事な弟が…こんなことしようとしてたって知ったら、アイツ、本当に…潰れちまうぞ」
優也の肩を掴んだまま俯きがちに苦しげな声を漏らす松田。
その訴えかけるような様子に、悔しげに唇を噛む優也の目に溜まっていた涙がポロポロと流れ始めた。
「…うっ、…だっ…て、…俺…っ…」
震える声を漏らす優也を、抱きしめるようにして横からその身体を包み込んだ景光。
「…ダメだ...って、分かって…、でも、…どうし...ても、考えて…しまって…、
どうしても…」
ギュッと手を握りしめた優也の手のひらには、爪が大きく食い込んでいて。
その気持ちが痛いほど伝わってきて、
降谷も、萩原も、苦しそうに目を伏せていた。
殺意を交えたその葛藤が誰よりも理解できる景光は、
自分のことと重ねているのか、
真剣な目を揺らがせながら、優也をさらに引き寄せた。
「…そうだよな。
…でも、それだけは、…ダメなんだ」
自身のコートのポケットに入れた彼のナイフを片手で握りしめ、景光が呟いた時──
『ゆ...、優也!!』
その場に響いた Aの声に、景光たちは一斉に振り向いた。
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作者名:white12 | 作成日時:2023年1月21日 15時