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笑えねぇ冗談_7 ページ34

「彼女からすれば、…言いたいことも山ほどあるでしょ。
事件のことがあって警察官を目指していたとすれば、…なおさらね」


言葉だけを受ければその通りだ。
警察学校生である景光や萩原、松田も思うことは同じ。




しかし、
木下の口の端が上がったのを目にした直後、




ブチリ




そんな音が聞こえたような気がして、自身の少し後ろにいる松田の方を振り向いた景光。
それは、松田の腕をホールドしている萩原も同じだったようで、後ろから彼の顔を覗き込むように見つめていて。



「…っざけんな!!てめぇ…いい加減にしろよ!!」


「お、おい松田…!!」


萩原が掴む腕を振り解き、木下に掴み掛かろうとした松田を、
その身体に抱きつくようにして景光がすんでのところでストップさせた。


「なに面白がってんだ!!お前みてぇな奴がいるから──」

「ち、ちょ…ちょっと何なんだ…!暴行だぞ!」


「松田…!!」
「やめろ!!」


萩原も松田の制止に加わり、
暴れる彼の腕は木下には届かなかった。

猛獣のように鋭く睨みつけられ、
怯んだ木下はそのまま去っていったものの、
景光たちの表情は険しく歪んだままだった。



“警察官を目指していたなら言いたいことも山ほどあるだろう”

そんな言葉はもっともだ。
しかし、週刊誌の記者だ。
意図することが彼らと全く違うことくらい、容易に想像できた。
捏造でなくとも、読者を増やすため、より注目を集めるために、純粋な情報のみが掲載されることは少ないはずだ。
早朝の警察学校に現れたときの様子からも、Aは、木下という男と以前にも顔を合わせていたことは明らかで、これまでにも似たようなことがあったのかもしれない。






「…なんなんだよ。ふっざけんな…」


木下が見えなくなったことで、脱力し、苦々しく舌打ちをこぼした松田。


「…ここにいるのか?桜庭ちゃん」

「2日前…って、桜庭さんが警察学校を辞めた日…だよな。
やっぱり、あのあと尾けてたのか…」



ビジネスホテルを見上げるも、窓から彼女が顔を出すはずもなく。
そもそも、今、ここにいるかは分からないのだ。




Aは、優也のことが心配だと言っていた。
それはもちろん、事件のことが一番の原因だろうが、
木下のような記者の存在のこともあるのかもしれない。
そんなことを考えながら、不機嫌な松田を横目に、
萩原と景光は眉を顰めて顔を見合わせていた。

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作者名:white12 | 作成日時:2023年1月21日 15時

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