雨空に桜色の花びらを (8) 【名探偵コナン/警察学校組】 (ページ21)

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別れは突然に_7 ページ21

『…犯人がようやく捕まったことで安堵する気持ちももちろんありましたが、
まさか、警察上層部の人間が…、と、悔しさと、なんというか…正直、混乱しているというか』

下を向いたままポツリと話し始めたA。
その手は悔しげに震えていた。

『犯人逮捕を受けて、改めて警察からも話を聞いているんですが。
…優也が、かなり精神的に…辛そうで』

事件の当事者で、犯人に刺されて生死を彷徨った彼の恐怖や怒りを思えばそれは当然で。
それは景光が誰よりも理解できることだった。
そして、優也が受けた深い傷とは別に、様々な方向から傷つけられてきたAもそれは同じことだろう
と、降谷たちは重く口を閉ざしていた。

『警察学校に入ったのは、あの事件の犯人を捕まえたいと…思ったからです。
でも今、その目的は終わりました。それに今は優也のこと以上に優先すべきことは、…ありません』

顔を上げて彼らの目を見つめ、静かな声でそうハッキリと口にしたA。

それは、辞めることに対する充分な理由。
誰も何も言えないだろう、充分な理由だった。

そして、

『…優也のことも、その、これまで…色々と助けて頂いたことも、
本当に、ありがとうございました』

と、小さく頭を下げてAはそのまま去っていこうとしたのだが、

「…何も、してないだろ」

苦しげな声が、彼女の足を止めさせた。