サンタクロースに願うのは_10 ページ10
登り切った太陽が冬の寒い空を照らし始めた頃、
「ったく…取り調べに時間かかりすぎだろ」
警視庁を出てすぐの路地に、松田の不機嫌そうな声が響いた。
「ちょ、ちょっと…松田」
警備を含め、警官や刑事と思われる人間がまだ近くにいる状況だ。
慌てて、声のトーンを落とすように促したのは諸伏だ。
その横には、萩原、そして降谷の姿があった。
「単に、…僕たちに言えることは無いというだけかも、…しれないけどな」
「それは、確かにそうかもな」
松田たちの少し後ろを、
どこか重い足取りで歩きながら、降谷に軽く頷く萩原。
“まだ取り調べ中でして、…何とも──”
それはつい今し方、
取り押さえた男のことを問うた彼らに対して、捜査一課の刑事である目暮が口にした言葉だった。
松田は、1時間ほど前に事情聴取のために警視庁を訪れていた。
彼に付き添うようにして萩原も同行していたのだが、
似た時間に降谷も呼ばれていたらしく、
同じく同行していた景光とともに、鉢合わせしたのだ。
そうして、同じ現場にいたこともあり4人で事情聴取を受けていたというわけだ。
「…もし、まだ何も自供していないとしても、銃刀法違反で逮捕することは可能だろう。
病室に無断で入ってきたことについて取り調べる時間は、…充分にあるはずだ」
「そういう話じゃねぇだろうが」
チッ。
冬の冷たい空気の中、松田の舌打ちがやけに大きく響いた。
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作者名:white12 | 作成日時:2022年11月2日 20時