検索窓
今日:33 hit、昨日:27 hit、合計:27,118 hit

姉と弟_7 ページ41

2人が何を話しているのかはおよそ理解できる降谷たち。
その話をAの口から聞いたのは、演習で彼女が倒れた日、虫の声が鳴り響く医務室で。
あの日のAは、犯人への執着と憎しみをその目に冷たく宿す一方で、
過去を含めて自分のことはどこか諦めたような納得”させている”ような、そんな様子だった。

そして今、目の前にいる彼女は随分と違う雰囲気で。
萩原が吐息混じりに小さく頷くような仕草をみせると同時に、
降谷と伊達もまた目を細めてその様子を見つめていた。


『それと、…可哀想だとかそんなことは、全然思ってない…けど、
でも、大事な弟を心配するのは、…やっぱり当然でしょ?』


キュッと優也の肩を柔らかく掴むようにして、諭すような言葉をかけるA。

優也は、軽く息を飲み込んで沈黙した後、


「…だったら」


と俯いて小さく呟いた。


『え?』

「だ、だ…、ぃじ…な──」

『…?』


すぐ側にいるのに上手く聞き取れず首を傾げるA。


「…姉ちゃんを心配するのも、当たり前…だろ…!弟、なんだから!」


急に顔を上げて声を大きくした優也に、Aは驚いて一歩後退りをした。


瞬きを繰り返し、優也の言葉を反芻するも言葉が出ない様子のA。



「”大事な”、って言葉、…ちゃんと言わないとダメなんじゃない?」

「え?」


そこに、側に立ったままの諸伏が、ニッコリ笑って言葉を挟んだ。


「大事な姉ちゃんのことを心配するのは当たり前だって、…言いたいんだよな?」

「…」

『…』


諸伏を見つめて気恥ずかしそうに、気まずそうにパチパチ瞬きをしている優也。
そのすぐ目の前では、同じように瞬きを繰り返しているAがいて。

姉と弟_8→←姉と弟_6



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (72 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
163人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:white12 | 作成日時:2022年11月2日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。